暮らしの中にあるものづくりの風景 七宝作家 Kenichi Kondo (後編)

色彩豊かなガラス質の釉薬と繊細な金属の仕事によって作られるジュエリーはシンプルなものから装飾的なものまで幅広く展開する七宝作家 Kenichi Kondo。9月23日(水)から伊勢丹新宿本館1階プロモーションスペースに出店することを機に、インタビューさせていただきました。前・後編の後編です。前半はこちら

JJ:
今回の伊勢丹への期間限定ショップでは、どんなアイテムをお出しになるんですか?

近藤:
今回は、色々いらっしゃるお客様のことをイメージして、小さい粒の淡水パールと七宝を合わせたシリーズや、金箔を使ったシリーズなんかも出そうと思っています。

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実験的な試行錯誤から生まれる色味と質感

 


JJ:
なんだか、こういったジュエリーど真ん中のアイテムも新鮮!定番の、クラフトとコンテンポラリーの間のものも、ものづくりっぽいものにも惹かれますけど。どちらも、近藤さんの作品は、目で見ないとわからない魅力が強い。この薄いボリュームの中に、七宝ならではの艶と、近藤さんならではの色味と質感が詰め込まれているのは、人の目で見ないと。

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近藤:
ありがとうございます。色々なラインをお出しする予定ですので、「七宝」の固定概念には捉えられず楽しみに来ていただけたらと思います。

JJ:
そして、、、なんだかこのアトリエにある数々の素材達、本当にわくわくしますね。

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近藤:
実験室みたいでしょ。ここで、試行錯誤して、色だとか質感だとか、新作を作ってます。

JJ:
これまで、完成したジュエリーを単体で見ていたので気がつかなかったですが、アトリエでこうやって拝見させていただくと、近藤さんが色々楽しみながら、こうかな?これはどうかな?と実験みたいに色々作られている展開なんだなとわかります。こういった、ランプシェードなんかも、素敵です!

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近藤:
ジュエリーは、七宝の釉薬と金属の仕事で新しく何ができるかと思いながら日々取り組んでいますが、一方で、七宝らしさを楽しめるような、少し大きいものを作ったり、それこそいわゆる七宝のように絵を描いたものも少しずつ、発表しています。色々な方向から楽しんでいただけたらうれしいです。

顔が見えるっていうのはやっぱり大事

 


JJ:
そのほかにも、これからやっていきたいことはありますか?

近藤:
そうだなあ。実は昔から、自分の作品を売り歩きたいなっていう夢があったんです、行商みたいに。それは叶っちゃったんですよ。

JJ:
行商?!

近藤:
そうそう。自分の作品を、荷物ひとつで売り歩いたりしたいなと思ってて。

JJ:
アートカテゴリーのものを行商みたいに売ることって、普通は全然結びつかなそうですけれど。

近藤:
そうなんです。でも、自分で作って、自分で売って、買ってくれる人に会うって、いいじゃないですか、しっかりしていて。あるべき姿というか。で、それ、New Jewelry に出店した帰りに、「あ、叶った」と思ったんですよ。自分でせっせと作ったものをこの北本のアトリエから荷物に詰め込んで都内に出て、お客さんに会えて、買ってもらって、終わったらまた詰め込んで帰ってくる。まさにこれだ!と思って。ずっと強く願ってると叶うんだな、と実感したところです。

JJ:
確かにNew Jewelry は、現代の行商スタイルかも笑。作り手さんが行商してるってすごいことですね。

近藤:
そうやって、顔が見えるっていうのもやっぱり大事だと思うことも多いですね。実は今週も、出会ったお客さんにふと「サーフィンやってみたい」と言ったら、「じゃあ行きます?」ってなって、急に念願のサーフィンデビューすることになったり。面白いですよ、日々。

JJ:
近藤さんは、自然体でありつつ、人に流されずにちゃんと自分の進みたい道を嗅ぎ分けて歩いてらっしゃるから・・・。そういう方の必然に、偶然が舞い降りてきますよね。それをまたあまりにも自然に楽しんじゃうから。

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近藤:
あとは・・・絵描きになりたいかな。

JJ:
絵描き?!きっとなっちゃうんだろうけど笑。

近藤:
あはは。いつも絵描いてるんだよねうちのおじいちゃん、みたいになるのが、今の夢かな。

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その思想には少年のような好奇心と柔軟性、その奥にぶれのない透明な芯があり、芸術家として現代を暮らされる等身大の姿を覗かせていただきました。

 

Kenichi Kondo のジュエリーは、ご覧いただけます。9月23日より1週間、伊勢丹新宿本館1階プロモーションスペースにて展開されます。詳細はこちらよりご覧ください。

interviewd by Hiromi Midorikawa
photo by Yuka Yanazume
KENISHI KONDO:http://www.kenichikondo.com/
Jewelry Journal Artist Page:https://www.jewelryjournal.jp/brand/kenichi-kondo/

 

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