京都国立近代美術館「ジュエリーは、誰を夢みる」開催 約350件で辿る日本のジュエリー表現

京都国立近代美術館 - 10月24日(土)-2027年1月17日(日)
新里明子 ヘッド/ノーズピース | 《Another Skin》新里明子はロンドンのセントラル・セント・マーチンズ在学中に、容姿と自信の相関関係についての研究を背景として、顔を改変するジュエリーの制作を始めます。別の誰かになりたい、という憧れは、時に強い原動力を人に与えます。同時にそれは、今の自分を直視して向き合い、前へ進むことでもあるのではないでしょうか。

2026年10月24日(土)〜2027年1月17日(日)の期間、京都国立近代美術館にて「ジュエリーは、誰を夢みる」が開催されます。


戦後日本のジュエリー表現を辿る大規模企画展

本展は、戦後日本におけるジュエリー表現の歩みをたどりながら、「身に着けること」と「表現」の関係を問い直す企画展です。

「あなたに、本当に似合うジュエリーとは——」。

周囲の視線や年齢、有名ブランドといった価値観にとらわれるのではなく、今の自分自身を表し、日々をより豊かに生きるための存在としてジュエリーを捉え直すことをテーマに、作家たちが積み重ねてきた多様な試みを紹介します。

1964年に平松保城や菱田安彦らを中心に日本ジュエリーデザイナー協会(JJDA)が設立され、1970年から開催された「国際ジュウリー・アート展」を契機に、欧米のジュエリーデザインやコンテンポラリージュエリーの思想が日本へ紹介されました。本展では、その歴史的背景をたどりながら、日本独自のジュエリー表現がどのように発展してきたのかを紐解きます。

Left:新里明子 ヘッド/ノーズピース | 《Another Skin》新里明子はロンドンのセントラル・セント・マーチンズ在学中に、容姿と自信の相関関係についての研究を背景として、顔を改変するジュエリーの制作を始めます。別の誰かになりたい、という憧れは、時に強い原動力を人に与えます。同時にそれは、今の自分を直視して向き合い、前へ進むことでもあるのではないでしょうか。

約350件の作品で見る、ジュエリーの可能性

会場では、専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ所蔵作品の大規模公開をはじめ、約50年ぶりにドイツから里帰りする作品群、さらに現代作家による作品まで、約350件を展示予定です。

平松保城、伊藤一廣、薗部悦子、鎌田治朗、新里明子をはじめ、日本を代表する作家に加え、オットー・キュンツリ、ヘルマン・ユンガー、ウェンディ・ラムショウ、ベルンハルト・ショービンガー、テッド・ノーテン、カール・フリッチなど、世界のコンテンポラリージュエリーを牽引してきた作家70名以上が参加。

オットー・キュンツリ | ブローチ《スイス・ゴールド》めかし込んだ男性の胸元に光る金塊のブローチは、「本物の」スイス・チョコレートの紙箱で作られています。洗練された文化的素養を示したいとき、また財産としても、優れた質とデザインの金のジュエリーを求める気持ちを皮肉を込めて象徴する作品です。
テッド・ノーテン | 《Chisaka’s Bag》所蔵者の妻が亡くなった後、愛用していた指輪をアクリル樹脂に閉じ込めて制作されました。ものを入れる機能よりも、手に持つジュエリーとしての役割を踏まえてバッグのかたちをしており、持ち手も故人の愛用バッグから転用されています。ジュエリーが持ち主の記憶や思い出と切り離せないことを強く意識させられる作品です。
いしかわまり | リング《Love makes blind(愛は盲目)》角度を変えると、ハートにもエタニティ―(∞)にも見えるかたちをした「愛は盲目」と題された指輪。表面には、5か国語の点字で「I Love You」と書かれています。当時作家は、ミュンヘン美術アカデミーのオットー・キュンツリのもとでコンセプトを持つジュエリーを学んでいましたが、それは日常的に異なるコミュニケーション方法や文化的背景に身を置くことでもありました。本作は、ジュエリーに馴染みあるモティーフを用いながら、努力しなければ意味の汲み取れない関係性を提示しています。

素材や宝石の価値だけではなく、「身体に身に着ける」というジュエリーならではの特性や、着用者と鑑賞者との関係性、さらにはアイデンティティを問い直す表現まで、多様な視点からジュエリーというメディアの可能性を紹介します。

田口史樹 ブローチ、ペンダント《White Expression》シリーズ

日本のコンテンポラリージュエリーを俯瞰する貴重な機会

日本人作家が国際的にも高い評価を受ける現在、その礎となった約60年にわたる歩みを一望できる機会は決して多くありません。本展は、美術・工芸・デザインの領域を横断しながら、日本におけるコンテンポラリージュエリーの歴史と現在地を紹介する、国内でも貴重な展覧会となりそうです。

なお、本展は京都国立近代美術館での開催後、2027年3月より島根県立石見美術館、同年7月より山梨県立美術館へ巡回予定です。

「ジュエリーは、誰を夢みる」
日時:2026年10月24日(土)~2027年1月17日(日) 10:00-18:00 ※金曜日は20:00まで ※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(11月23日(月・祝)、1月11日(月・祝)は開館、翌火曜日は休館)、年末年始(12月29日(火)〜1月3日(日))
場所:京都国立近代美術館
住所:〒606-8344 京都府京都市左京区岡崎円勝寺町
TEL:075-761-4111(代表)
URL:https://www.momak.go.jp/

主催:京都国立近代美術館
特別協力:専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ、公益社団法人日本ジュエリーデザイナー協会、国立工芸館
協力:JEWELRY JOURNAL