真面目なデザインと徹底して偏ったアートディレクション PENTA (前編)

ビーズの新しい価値を提案するブランドPENTA のデザイナー FUJI TATE P (フジタテペ)さんにインタビュー。フランクな話から、これまで触れたことのない核心まで、お話を伺うことができました。前後編で公開します。

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JJ:
今日はよろしくお願いします。早速ですが、PENTA以外でも、フジタテペさんは他にもいろいろ活動をされていると思うのですが、詳しく教えてください!

フジタテペ:
よろしくお願いします。PENTAは、元々は僕が立ち上げたんですが、今はトーホーというビーズの会社と共に作っているブランドで、今はクリエイティブディレクターとして関わっています。ビーズの新しい価値を提案することがコンセプト。その他に、自分一人のプロジェクトである、空中に刺繍を刺すというテーマで作っているモビールのERIKA 、一枚の布から作るバッグのSMOCK など、展開しています。

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幅広い活動、肩書きは「デザイナーとか」

 

JJ:
肩書きというかジャンルとしては、刺繍家、が一番しっくりきますか?

フジタテペ:
そうですね〜。デザイナーとか、ですかね。刺繍のアトリエでお針子をしていたことがあったので、刺繍に関わることが多いことは多いのですが、最近はCRAFT AID (New Jewelry 2015 にも参加予定)というNGO が運営しているフェアトレード事業の商品開発を手伝ったり、東日本大震災の被災地のお母さんたちのものづくりに関わるプロジェクトが来年から始動したり、幅が広がっているのは確かです。

JJ:
なんというか・・・今思い浮かんだのが「マルチタレント」っていうのが一番ぴったりくるのかなって。フジタテペさん、ものすごい華があるから。

フジタテペ:
ありがとうございます。人の中にいて、面白いことやろう!と、口出したりしていつの間にか仲間に入ってたりするのは得意です。目立ちたがり屋だし笑。

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JJ:
完全に人徳ですね。PENTA の成り立ちについて、詳しく教えていただけますか?元々は、ビーズのジュエリーを作られていたわけではなかったですよね?

フジタテペ:
PENTA は、実は色々な人の意見やラッキーが重なって自然発生的に出来上がったブランドです。元々、僕が所属していたことのあるIDÉE という家具の会社で、クリエイティブディレクターの方が居て。退職した僕が刺繍のクリエイターだと話をしていたので、一緒にビーズのアクセサリーを作らないかという連絡をもらって。紆余曲折あって、カジュアルに、気兼ねなくつけてもらえるようなトラベルジュエリーを作って発売させてもらったんです。

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フジタテペ:
テーマは、「肌に刺繍を刺す」。その活動を見てくれていたNew Jewelry の方から、伊勢丹新宿でNew Jewelry を開催するタイミングに、自分のブランドとして発表してみてはと言ってもらって、一気にブランドとしてPENTA を立ち上げました。それがファーストコレクションです。

JJ:
えええ!そうだったんですね。確かに急だった記憶が。それから、幾つかコレクションを発表して、昨年からトーホービーズさんと一緒に展開することになったと。

フジタテペ:
トーホービーズは、戦後の広島でビーズの製造をスタートし、その後ビーズのキットを販売して。次は、プロダクトを自社で作って発信だ!というタイミングだったとのことでお声がけいただいたんです。僕はそこから、創始者であると同時にクリエイティブディレクターに就任しました。今は、デザインを僕がして、ジュエリーの形成は広島の工房で職人さんたちがしています。

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「無駄な材料を残して作る、のは嫌」は原点

 

JJ:
すごい展開ですね。

フジタテペ:
New Jewelry に出店することになり、ビーズジュエリーについて色々研究したんですけど、ビーズで何かを作ろうとすると、色数や大きさなど、とにかくたくさんの材料を手に入れないと作れないものが多いんです。で、少し使って、大量に残ってしまう。それで、これは全部同じ大きさのビーズで、色だけ違うものでつくればいいんじゃないかと思って。材料が余るのも合理的じゃないし、無駄な材料を残して無駄なもの作る、のは嫌ですよね。そこをどうにかすることをデザインの発端にできて、素材的にもラッキーでした。

JJ:
デザインによりけりですが、その方がシンプルで洗練されたものになる可能性もありますもんね。そういった素材の使用効率からのデザインというのは、プロダクトデザイナーの思考に近い気がします。ビーズといえば、誰でも扱いやすい素材な分、ハンドメイド感も出やすいですが。

フジタテペ:
そうなんです。でも、扱いやすい素材で誰でも知ってるのに、ビーズがガラスでできているってこともみんな知らないでしょう?原材料はガラスなんですよ。ビーズの新しい価値を提案していきたいと思っています。New Jewelry 2015 でも出しますが、先日発表したばかりの竹シリーズは、ビーズがガラスとわかるような素材感をいかしてデザインしました。

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JJ:
これはまた、いわゆるビーズジュエリーから飛びぬけましたね。透明感もありつつ大人っぽい配色で、まさに大人 PENTA ですね!男子がつけるのもよさそう。PENTA と、映画がコラボ企画もあるそうですね。ジュエリーと映画のコラボレーション?!と驚きました。

フジタテペ:
そうなんです!Mommyという映画があって、そのDVD発売を記念して、12月2日から原宿で展示をします。元々映画はすごく好きで、特にこの映画を初めて見て感銘を受けて、個人的にSNSで発信していたら、配給会社の方と繋いでいただいて実現することになりました。登場人物や話の世界観を作品にして見せる展示会でリミテッドピースを発表します。20体くらいかな。

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JJ:
登場人物をビーズジュエリーに表現、、っていう言葉だけ聞いた想像と違う形に表現されてると思いますね、これは、、(残念ながら撮影NG。会場でご覧ください!) PENTA の魅力は、やはり平面的な表現にとどまらず、立体でこう言ったディテールを表現できることですよね。

いよいよPENTA のものづくりに迫るインタビューは、後半に続きます。

文中に出てきた映画 Mommy!とのコラボレーション展示会の詳細はこちらより、合わせてご覧ください。

interviewed by Hiromi Midorikawa

photo by Yuka Yanazume

 

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