「大阪・中之島のショップを訪ねて 」《talkative》マロッタ忍さん – 後編 –

オープニングパーティーの写真
オープニングパーティーの様子

今春、大阪・中之島エリアへ表参道店に次ぐ2号店をオープンした《talkative(トーカティブ)》。

新店へのこだわりや関西初の出店を決意した経緯などを伺った『「大阪・中之島のショップを訪ねて 」《talkative》マロッタ忍さん – 前編 –』に続き、後編では中之島エリアの魅力についてお届けします。

中之島で気になる物件を見つけたものの、想定外の出会いに不安と期待が入り混じる思いだったマロッタさん。新店オープンに向けてその背中を押したものとは。

鮮やかなカラーストーンにエッジの効いたカッティングが施されたトーカティブのジュエリーたち

 

つながった人、つながりたい店

店の面積が広いぶん、それだけさまざまなエネルギーがかかる。
内装や今後の運営について迷っているマロッタさんを後押ししてくれるように、その後は偶然が重なった。

大阪の街歩きの途中で知り合い、センスや価値観に共感していたビンテージ家具ショップのオーナーが「気になる建物がある」と見せてくれた写真がまさにこの物件だった。あまりのタイムリーさに「これは何かある」と感じた。

また、きらびやかな繁華街とは別な雰囲気を持つ中之島周辺の未開拓感に対し「場所は自分たちでつくるもの」という先輩からのアドバイスもあった。

物件を見た際、真っ先に気に入った窓

思いがけず降ってきた出会いや言葉の中でこの立地を考えるうちに「自分にとっての居心地の良さは空や水の近くで、抜けを感じられる場所にあると気づいた」とマロッタさんは言う。

そんな気の良い場所でスタッフが働き、お客様がいらしてくれたら嬉しいとも思った。

店内にはトーカティブのフルラインナップが並ぶ

希望と不安が織り混ざりながら考え抜いた末に、《talkative(トーカティブ)》の世界観、アイデンティティを全て出し切るお店がこの場所であれば実現できると確信した。
2024年初夏のことだった。

大阪店への想いについて話すマロッタ忍さん

物件の決定後のことだが、さらにマロッタさんらしい偶然が重なったエピソードも面白い。

「オープンの日を3月15日に決めたあと、ここの住所が土佐堀3-1-5ということに気づいたんです。『315=サイコーの日』じゃないですか!大安や風水よりも、自分で決めたサイコーな日に最高な場所でオープンできるなんてこの偶然がまさにサイコーです!」

土佐堀通りは繁華街とは言えない場所だが、1号店である表参道店もオープンした2018年はまだ普通の住宅街だった。コロナ禍も経て今は店舗が増え、賑わっているという。

「大阪店もそうなるかもしれないと感じています。東京で例えると清澄白河のような雰囲気とも言っていただけました。この辺りは素敵なショップやこだわりのある飲食店も実はちゃんとあって。《talkative(トーカティブ)》来店をきっかけにお客様がほかのお店を発見したり、その逆のことがあったり、お店同士がつながってこのエリアを盛り上げていくのも面白いですよね」

マロッタさんらしい、初見のインスピレーションとポジティブな思考がこの場所での新店舗構想に花を咲かせ、実を結んだ。

ガラス越しに明るいイエローの壁を見つけたらそこが《talkative(トーカティブ)》。
あなたもサイコーな出会いを探しに、中之島へ出かけてみませんか?

 

番外編:編集部が見つけた中之島の魅力

大阪、中之島エリアは地元の人いわく「よく言えば大阪のパリ、ポンヌフ」。堂島川にかかる堂島大橋からタワーマンションを眺める。もう少し日が落ちる頃から見られる夜景はこの辺りの魅力の一つでもある

江戸時代には問屋街として栄えた中之島を囲む川は、水路として当時からさまざまな富や知恵を集めてきた。だからか、このエリアは一時期には文教地区でもあり、美術館や科学館も立地している。

昭和建築が残る通りもあればクリエイティブエージェンシーや撮影スタジオもあり、時代や人がミックスされてゆっくりと輪が広がりそうな気配がある。そんな中之島に点在する魅力的なお店をいくつかご紹介します。

IL SOFFIONE

IL SOFFIONE
世界各国から仕入れるナチュラルワインのセレクトショップ。2023年に徒歩10分ほどの町から移転し、3倍ほどの面積となった。ところ狭しと並べられたワインやシードルに加え、オリジナルのトートバッグやスウェットなども販売しており、ギフト探しにもぴったり。

アクセス:大阪市北区中之島4-1-18 1F / 筑前堀橋からすぐ
Instagram:@il_soffione_official

su

su
「IL SOFFIONE」の2階にあるナチュラルワインバー。川沿いの大きな窓からの光が心地よい。スパイスの効いたキャロットラペや手の込んだトリッパなどの一皿も美味しく、ノンアルコールのメニューも充実している。

アクセス:大阪市北区中之島4-1-18 2F / 筑前堀橋からすぐ
Instagram:@su_ilsoffione

heys

heys
堀江にも店舗を持つheysの本店で、2月にオープンしたばかり。ホットピンクのカウンターと有機的なラインの什器が印象的で、カップもオリジナルなどオーナーのこだわりが詰まっている。

アクセス:大阪市北区中之島3-1-2/ 筑前堀橋からすぐ
Instagram:@heyscoffee

今回の取材を通して、石の目利きであるマロッタさんは場所の目利きでもあると感じました。

このエリアには、上でご紹介した店舗のほかにも、デザイン事務所やライフスタイルグッズショップ、昔から営むカレー店やベーカリーなど、こだわりのショップが点在しています。そして、なんといっても、中之島を囲む川のたっぷりした流れは大きな魅力。知らずのうちにゆっくりと歩かせてくれる心地よさがあります。

新天地で始まるtalkativeが、どのように世界を広げていくのか楽しみです。

talkative OSAKA
営業時間:12:00-19:00
定休日:火曜⽇・水曜⽇
住所:⼤阪府⼤阪市⻄区⼟佐堀3-1-5-1F
電話番号:06-7494-3180
問い合わせ先:トーカティブ 03-6416-0559
URL:https://talkative.jp


Mayumi Kamura

嘉村真由美

編集者、マーチャンダイザー。コマーシャルギャラリーでのアーティストマネジメントから編集業を経て独立後、百貨店の松屋・MD部門に所属。ディレクション制作や新規ブランド開発を行う。専門分野はジュエリー、バッグ、シューズを主としたファッションアイテムとコンテンポラリーアート。

Instagram | @onigirimayumi