a little trip to atelier

「西荻窪のアトリエを訪ねて」- 前編 - 《januka》デザイナー中村穣さん 妻・夏子さん

24あるという商店街は、ひとつ一つ表情が違っていて、点在する店はどれも個性的。
都心とはちがう、ゆったりとした空気が流れる西荻窪は、どこか懐かしい雰囲気をまとう街です。

そんな、西荻窪駅北口の商店街の一角に現れた“KITAYON”は、この街のあちこちにある路地とそこに存在する魅力的な店をイメージして建てられたという、小さな複合施設。今年6月、この建物の2階にアトリエ兼ショップをオープンさせ、3階にはご自宅を構えたという《januka(ヤヌカ)》のデザイナー中村穣さんと、妻の夏子さんを訪ねました。

アトリエ兼ショップのオープンを機に、西荻窪に移り住んだおふたり。「恵比寿や代官山もいいけれど、個性的な商店街の店々も、人の流れもちょうどいいバランス。地元の方々との交流にも刺激があって、すっと溶け込むことができました。とても居心地のいい街です」と話します。

《januka(ヤヌカ)》は、中村穣さんが2012年に立ち上げたジュエリーブランド。ジュエリーに対する素材や技法への先入観に捉われない、「お手本から少しずれた」をコンセプトに、天然石や双子パールなど、個性的なアプローチでデザインされたコレクションが揃います。

まだ真新しい、おふたりのアトリエ兼ショップの様子はというと。エントランスや天窓から、やわらかな光が入り、ショーケースに並べられた、地金、そして天然石、ミラー、珊瑚といった、さまざまな素材を使用したジュエリーたちと共鳴しています。親しみやすくて透明感のある、おふたりの雰囲気を反映している。そんな空間です。


ルーペ、ノギスが転がっているアトリエの机上は、いつもこんな雰囲気。
ここでは、ルーペで石の状態を見たり、ノギスで金属の幅を計測したりする。

 

指輪づくりの工程で、金属の棒をカットし、リング状になった金属の歪みを上から叩き、
まっすぐにするためのツール。木の丸太の上で叩くことで、音が響きにくくなる。

 

天然石を金線で留めている「バンドシリーズ」では、石に小さな溝を掘り、溝に合わせて金線を作る工程が。同じような大きさの石でも個体差があるために、溝の長さを計測してメモし、石と金線のペアがわからなくならないよう、上下にならべて作業していく。

 

アトリエの階段を降りるだけで、おいしくてヘルシーなご飯が食べられるカフェのある幸福感。ここは、そんな贅沢を叶えるおふたりのおすすめカフェ。同じ建物にある気軽さと温かく迎えてくれる“cafe ilo”さんの居心地のよさも抜群で、おいしいスイーツとコーヒーで気分転換します。打ち合わせ場所に使わせてもらったり、スタッフと一緒にランチを楽しんだりと重宝しているそう。「野菜たっぷりのスープは、イベント続きで疲れている時、ふと飲みたくなる味です」と中村さん。

cafe ilo
東京都杉並区西荻北4-4-1 102
03-6795-5301 11:00〜18:00(金土のみ11:00〜22:00)水曜日定休
http://www.cafeilo.com

 
– 前編は、西荻窪にあるアトリエの様子やおすすめのカフェを紹介しましたが、後編では、おふたりの旅にまつわる愛用アイテムなどに触れていきます。
 

「西荻窪のアトリエを訪ねて」- 前編 - 《januka》デザイナー中村穣さん 妻・夏子さん

Profile

なかむらじょう/大阪生まれ
ニューヨークPratt Institute でインダストリアルデザインを学んだのち、オランダ Design Academy Eindhoven で修士を取得。Gijs Bakker、Ted Notenらに師事し、2007年オランダdroog design からデザイナーとして作品を発表。2012 年にジュエリーブランドjanukaを立ち上げる。2017年6月 西荻窪にjanuka/JO NAKAMURAをオープン。
http://www.januka.jp

CREDIT

Photo: 宮濱裕美子
スタジオ勤務を経て2005年に独立し、おもに出版物を中心に活動中。手工芸の撮影を多数手がけ、国内外の各地を巡る、旅を愛する写真家。

Interview & Text: 花沢理恵
料理書籍から女性誌まで幅広い媒体で、編集&ライティング、スタイリングを手掛ける。ふらりと旅にでることと、京都がたまらなく好き。

a little trip to atelier

この連載は、ジャンルにとらわれずものづくりに携わるつくり手のアトリエを巡る、小さな旅のコラム。アトリエの様子から、旅にまつわるエピソードや愛用のアイテム、その街にある、おすすめのお店や風景までを紹介します。

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