【連載】basic knowledge of Jewelry vol.7 – Diamond / ダイヤモンド

今回の基礎知識は、世界中で最も愛されている宝石「ダイヤモンド」についてです。ダイヤモンドの輝きの美しさはもちろん、4月の誕生石であること、鉱物として”非常に硬い” という性質を持っていることなどは皆さんもご存知かと思います。

そしてとても高価な宝石であるということも・・・でも何故高価なのか? 実はよく知らない部分もあるのでは? 今回はダイヤモンドの歴史を始め、様々な角度からダイヤモンドについての知識をご紹介します。

 

【ダイヤモンドの歴史】

ダイヤモンドの名の由来は、ギリシャ語のアダマス(征服し得ない力の意味)「Adamas」が変化して「Diamant」となり、ダイヤモンドの語源になったそうです。イタリア語・スペイン語・ポルトガル語では「diamánte(ディアマンテ)」と呼ばれています。ダイヤモンドは紀元前にインドの川で発見され、発見当初の原石は当然ながらダイヤモンド特有の輝きは持たず、ルビーよりも価値の低い宝石だったようです。ですが、鉱物としてのその硬さゆえ当時より道具として使用され、またお守りとしての意味を持つ物でした。13世紀にはレガリア「Regalia」(王位の象徴としての持物。冠など。)として登場しているようですが、後の15世紀頃にダイヤモンドの研磨法が開発されると、現在のような宝飾としてのダイヤモンドの地位が確立されていったそうです。

 

【ダイヤモンドの価値と価値基準】

ダイヤモンドは高価なもの・・・皆さんも漠然とそう認識していると思います。では、なぜ高価なのでしょう? それは単純にダイヤモンドがとても希少な存在だから。希少価値を生む理由の1つは採掘の困難さです。採掘の代表的な方法は、ダイヤモンドを含むキンバーライト(ダイヤモンド原石を含む岩石)を採掘し、その岩を粉砕してダイヤモンドを採取するのですが、掘り起こしたキンバーライトのおよそ2000万分の1しかダイヤモンドは採取できません。しかもその中で、宝飾に使用可能な質となると更に少なくなり、また大抵の鉱山は辺境の地。発掘には大掛かりな重機や設備が必要なのです。採掘の作業も困難な上、宝石としての質と大きさを兼ね備えた石を採取するのはとても大変なため、希少な存在となるのです。

ダイヤモンドの原石

 

【ダイヤモンドの品質の基準・4C】

耳にしたことがある方もいらっしゃるかと思いますが、ダイヤモンドの価値を示す「4C/ヨンシー」という国際的な基準が存在します。ダイヤモンドの価値基準である「4C」は以下の4つの項目の頭文字を取ったものです。

・カラット/Carat—[ダイヤモンド(宝石)の重さを表す単位] 1カラットはおよそ0.2gです。カラットはCarob(カロブ・キャロブ)というイナゴ豆が由来とされています、一粒が0.2gで、この豆を重りの代わりに使用していたとされています。(重さの単位であって、直径(サイズ)ではありません。)

・クラリティ/Clarity—[品質・透明度] キズの有無や、内包物の大きさや位置などによって評価します。記号として、『FL・F1・VVS1・VVS2・VS1』などで表記されます。

・カット/Cut—[石全体のプロポーション、表面のカットの両方を表す] カットはダイヤモンドが本来持つ輝きに大きく影響する要素です。全体のプロポーションは石の屈折率による輝きに関係し、表面のカットは反射によるダイヤモンド特有の煌めきを生み出します。

・カラー/Color—[色] 無色から薄いイエロー(ブラウン)の段階をアルファベットの『D~Z』で評価します。

以上がダイヤモンドの「4C」についてです。

記号や数字が並ぶと堅苦しく感じますが、その道のプロで無い限りは実際の石を見て、その価値を見極めるのはとても難しいことです。私自身も、石の購入の際はとても頼りにしています。

カットの善し悪しや、色によって様々なグレードがあるのはわかるけど、実際にはどのランクを選べば安心なのか? 完全に主観ですが、エンゲージの場合だと以下の通りです。
・クラリティー ⇨「VS」以上
・カラー ⇨「H」以上
・カット ⇨「Excellent」といったところでしょうか。
予算にゆとりがあれば、
・クラリティー ⇨「VVS2」
・カラー ⇨「F」以上
・カット ⇨ 表には記されていませんが「3 Excellent(トリプルエクセレント)」のものを選ぶと良いかと思います。

因みに、ダイヤモンドの場合はこの「4C」を基にした「グレーディングレポート」というものが購入した際につく場合があります。全てのダイヤモンドのジュエリーが対象では無く、エンゲージリングなどダイヤモンドの品質をメインに掲げている商品につく場合が殆どです。鑑定書と混同されがちですが、グレーディングレポートはダイヤモンドにのみ発行されるものです。あらゆる宝石に対して発行されるのは「鑑別書」。真珠のみに対して発行されるのは「鑑別鑑定書」と書類の種類が異なります。

 

【メレ/melee】

ダイヤモンドの小さなサイズのものを、特に「メレ/melee」(小粒の石)と呼びます。一般的に0.20ct(3.8mm)〜0.1ct以下の石を指しますが、0.02ct以下のサイズでは「スターサイズ」と呼ぶこともあるようです。前述までの「4C」は一般的に0.2ct以上の石に関するグレーディング(石のクオリティーの評価)で、メレサイズになるとこうしたハッキリとしたグレードはつかない場合が通常です。
*どのサイズからメレと呼ぶかはプロでもかなり差があります。

 

【ダイヤモンドのカラー】

イエローや、ピンクなどの色のついたダイヤモンドが存在することは、皆さんもご存知かと思います。先の「4C」のカラーの項目でも記述したように、無色透明といわれているものでも若干黄味がかったり、茶色味があるものですが、そうしたものよりも、よりハッキリとした色味を持つものは「カラーダイヤモンド」として、新たな価値と魅力を持っています。色のバリエーションは「イエロー」「オレンジ」「ピンク」「レッド」「バイオレット」「ブルー」「グリーン」「ブラウン」「ホワイト」「ブラック」など、かなりのバリエーションです。殆どのものは薄い色ですが中にはハッキリとした色を持つものもあり、これらは通常のダイヤモンドより更に希少で高価なものになりますが、ファンも多く世界中にコレクターもいます。

 

【ダイヤモンドの手入れと取扱い】

ダイヤモンドは他の素材を用いたジュエリーと比較して「硬い鉱物である」という点から、取扱いに関してさほど注意をされない方も多いのでは? 実はダイヤモンドは「油」との親和性が良く、指紋などがとてもつきやすい宝石です。私も以前購入したリングやピアスが、購入後すぐに曇ってしまいビックリした経験があります。ダイヤモンドが曇ってしまったら・・・まずは柔らかい布などで拭く。これだけで大抵は輝きを取り戻します。それ以上のお手入れが必要なほど汚れが目立つ場合は、購入店でクリーニングしてもらうと良いと思います。無理に掃除をして、石を留めている金属の部分がズレると、大切な石が外れてしまったりする原因となってしまいます。また、ダイヤモンドはとても硬い鉱物として知られていますが、衝撃のかかり方によっては割れたり、欠ける可能性があります。やはり他の宝石のついたジュエリー同様、大切に扱うことが大事です。

今回の記事は「株式会社 柏圭」様のご厚意を賜り、商品開発部の方々にダイヤモンドについてのお話を伺い、また資料等の多大なご協力を得て執筆しました。最後に今回お話を伺った「株式会社 柏圭」で取り扱っているジュエリーの中で私が興味を持ったものを紹介します。
 

【Forevermark】

「フォーエバーマークダイヤモンド/Forevermark」とは、「デビアスグループ/De Beers」が開発した特許技術により、ダイヤの一石づつに肉眼では見えない認証番号を記したものです。ダイヤモンドの品質の保証は勿論、環境や倫理基準を尊守して採掘されたダイヤモンドの証明となっています。https://www.forevermark.com/ja-jp/より「フォーエバーマークダイヤモンド」の詳細や、このダイヤを使用した商品をご覧頂けます。

 

【ピンクダイヤモンド】

ピンクダイヤモンドは、今回改めてダイヤモンドの希少性という点から興味を持ちました。世界のピンクダイヤモンドの9割以上は、オーストラリアの「アーガイル鉱山/Argyle diamond mine」から産出されているそうです。特にパープルがかったピンク色のものが美しいと聞きましたが、本当に希少で、透明のダイヤの1/1000の産出量だからだそうです。限られた産出量のため、この鉱山で採れたピンクダイヤモンドを取引できる会社は世界でも数が限られているそうです。

 

【ブラウンダイヤモンド】

色々なダイヤモンドを拝見させていただいて、一番興味を持ったのがブラウンダイヤモンドです。存在は知っていましたが実際の石を見ると、透明のダイヤモンドよりもかなり落ち着いた輝きで、色のグラデーションも美しく、何よりもプラチナやゴールドと言った金属と合わせた時の異なるニュアンスのバリエーションと美しさに驚きました。ダイヤモンドというとフォーマルな印象ですが、このブラウンダイヤモンドは身につけられるシチュエーションの幅もかなり広いと思います。 https://browndiamond.jp

写真はすべて株式会社 柏圭のブラウンダイヤモンド。写真中央は、ブラウンダイヤモンドのグラデーションを生かした「muku」シリーズ、写真右は「ソリティア」シリーズ。石とリングのゴールドのカラーバリエーションが豊富

他の宝石とは一線を画した輝きを放つダイヤモンド。エンゲージリングや大切な記念日、また特別な人へ贈るジュエリーに選ばれる理由は、見た目の美しさは勿論、その希少な存在であることの価値も含まれているのだと改めて頷けます。エンゲージのような大切なジュエリーを購入する際は、信頼できるお店で検討されると良いと思います。良いダイヤモンドを扱っているお店は、その石の価値を活かすべく、土台の金属の部分もしっかり作られています。また、最近では海外の大手の宝飾店でも、石の産地を記載するようにしていると聞きました。こうした動きは以前話題となった、ダイヤモンドの売買の一部が紛争の資金に使われていたり、児童労働により得られたものでは無いという証明のためです。現在、食やその他の身近なものに関しては、消費者の間でもフェアトレードや安全性に関する意識が広まっていますが、ジュエリーの世界でも私達個人が知識を持って選択し、購入できるよう変わりつつあるのかと思います。

*今回の記事は「株式会社 柏圭」様よりご協力を頂いておりますが、全ての文章ではありません。
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