INTERVIEW

オリジナルとトラディショナルが出会う場所 talkative(後編)

「会話の生まれるジュエリー」をコンセプトに、遊び心と実用性を兼ね備えたラインナップを展開するtalkative(トーカティブ)。デザイナーのマロッタ忍さんへのインタビュー後編では、talkativeならではの天然石の調理法や、ブライダル展開について話を伺いました。
*こちらの記事はインタビュー後編となります。前編はこちらから。

talkativeは、11月23日(木)までCULET by New Jewelry 名古屋店にて、天然石の一点物アイテムのみを集めたSPECIAL COLLECTION “LIMITED PIECE”を開催中です。

“インクルージョン”と“カット”に宿る天然石の魅力

JJ:
SSの新作「STICK」が登場してから様々なイベントを迎えられていますが、反響はいかがですか?

マロッタ:
特にラピスラズリや縞メノウの鮮やかな色がご好評いただけました。お客さまからは「ナチュラルな天然石がスタイリッシュに変身している」「本物の素材を使っているのに遊んでいる、というのが良い」などのお言葉もいただき、とてもうれしかったです。また「STICK」だけでなく、同じく天然石を使った一点物のジュエリーなどもご好評いただいています。

JJ:
マロッタさんは毎年、一点物の天然石を求めて海外のマーケットをめぐられているそうですね。

マロッタ:
そうなんです。昔から石が大好きで、無数の天然石が並ぶマーケットを探索するのはとても幸せです。天然石との出会いはまさに一期一会なので、とにかく自分の足と直感で一点一点吟味して、クタクタになるまで探し回っています。でも、その甲斐あっていつも素敵な天然石にめぐり会うことができています。

JJ:
talkativeの天然石は希少かつハイクオリティと評判ですが、マロッタさんの考える天然石の魅力とは何でしょうか。

マロッタ:
いろいろありすぎて語り尽くすことは難しいんですが……まず、市場的に定められた水準が石の価値のすべてではないはずだ、という気持ちが根底にあります。例えば一般的に価値を知られているルビーやエメラルドは、宝石の「貴石」に分類されますが、貴石ではなくとも、全く別の基準で美しさを見いだせる石はたくさんあります。その視点のひとつは、例えば「インクルージョン」です。これは宝石の中に取り込まれた内包物のことで、石が結晶化する過程で別の鉱物や気体、液体などが入り込んだものです。“偶然”と“長い年月”によって生み出された天然のデザインはまさに神秘的で、そのグラフィカルな美しさに魅了されています。

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JJ:これらはすべて、この世に2つとない“一点物”なんですよね。そう考えると確かに神秘的です。

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マロッタ:
例えばこれは、人気の高い「レピドクロサイトインクォーツ」です。クォーツとは水晶のことですが、この中に“鱗”を意味する鉱物「レピドクロサイト」を内包しています。赤い炎のようなインクルージョンがちりばめられていることから「ファイヤークォーツ」「レッドクォーツ」とも呼ばれています。私には花びらが舞っているように見えて魅力的です。

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また、これは7つの鉱物を含むとされる「スーパーセブン」と呼ばれるものです。もっとも、7つというのは原石段階での条件のため、カットして市場に回る頃には7種すべてを有するものはほとんどないのですが、天然石はこの“カット”という要素も極めて重要です。買い付けるマーケットでは、天然石のほとんどはカットされた状態で並んでいるのですが、石のディーラーによって石取り(カット)のセンスが違います。ここを見極めるのも石選びの大事なポイントなんですよ。

 

天然石の“個性”と“色気”を生かしたデザイン

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JJ:
「STICK」もそうですが、こういった天然石と地金を組み合わせて素敵な作品に仕立てるのがtalkativeの魅力ですね。

マロッタ:
ありがとうございます。天然石の場合は、言うなれば“コラージュ”のような感覚で作っています。インクルージョンやカットなどの天然石の魅力って、人間で言うとホクロやそばかすみたいな“個性”のようなもので、私はそこに色気を感じています。それで、とにかく「その石を一番キレイに見せるセッティングをしてあげたい」という思いが一番にあって。インクルージョンが入っていて珍しければいいわけではなく、個性的な石に素晴らしいクオリティの仕立てを施して、ほかにない研ぎ澄まされた一点を生み出したい。それを意識しながら一点一点に石留めの方法などを考えながら、職人とともに仕立てていきます。

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JJ:
このリングなどは、石のパビリオンからキューレットにかけて(石のおしりの部分)を、石座からあえて突出させたデザインがとてもスタイリッシュで個性的です。デザインが先にあり、設計に沿って石を加工しているのではなく、それぞれの石の魅力に合わせて石枠を作っていくのですね。まさに一点モノ!

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マロッタ:
例えばこれは「ブルートルマリンルチルクォーツ」といって、ブルーのトルマリンが針状に含まれているという大変珍しい天然石なんですが、その希少性もさることながら、これほど上品なファセットカットに加工されているものもそうそうありません。針の青みの美しさに見とれてしまいますね……。このような出会いがあるので、ついまた石を探しに行ってしまいます(笑)。とにかく、こういった希少な逸品が最大限に美しく見えるよう、一点ずつ大切にデザインしていくわけです。

JJ:
海外のマーケットでは、一点物の天然石だけでなく、talkative のブライダルリングに用いるローズカットダイヤも買いつけてくるそうですね。

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マロッタ:
そうなんです。ローズカットダイヤというのは、粒のふくらみが石によってまったく異なるのが特徴で、バランスのよいモノになると簡単には見つかりません。高品質のルース(裸石)の中から一粒ずつルーペでチェックし、ふっくらとしたハイドームで照りの良い石のみを選びます。何百粒とある石の中で、選ばれるのは数粒のみ。自分自身で厳しい水準を設け、自分の目で選び抜いたダイヤモンドだけをエンゲージリングに仕立てています。輝きが本当に素晴らしいですよ!

 

ブライダルリングに選ばれるブランドを目指して

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JJ:
この「TYING」というブライダルリングは、一点ずつ買いつけたローズカットのダイヤモンドとオリジナルの地金が融合した、まさにtalkativeならではのデザインですね。

マロッタ:
細かく編まれたロープをそのままリングにしています。これはブライダルにちなんだ“結”のイメージをデザインに落とし込んだもので、結ばれた二人の絆を縄目のリングで表現してみました。

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マロッタ:
ブライダルで言えば、“溶接”を意味する「WELD(ウェルド)」というシリーズも人気です。本来ならリングの制作過程で消し去ってしまう溶接部分をデザインの主役にしています。「二人の愛でくっついた」という意味を込め、つなぎ目をあえて残したデザインになっています。

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JJ:
ブライダルリングとなるとシンプルなデザインを求める人が多そうですが、こういうちょっとしたニュアンスを取り入れることで、グッとオリジナリティが出てきますね。

マロッタ:
そうですね。もちろん潔いシンプルさを追求したシリーズもあって、「OVAL」「MARQUEIS」「HALF-ROUND」などは伊勢丹新宿店のブライダルコーナーでも人気です。仕上げが選べることや、つけ心地の良さにこだわっていること、細部まで洗練された表情であることがその要因だと思います。そして、talkative独自のシャンパンゴールドの色味(ゴールドとプラチナの中間の色味)が他にないものになっていて、とりわけ男性から高い支持をいただいています。

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JJ:
ブライダルは一生モノですものね。それぞれのリングのコンセプトや、細部に渡る作り込みのこだわりを聞きながら納得のリングを選べたら、すごくいいですよね。

マロッタ:
一生身につけるものなので、talkativeでブライダルリングを選んでもらえるということは、それだけ信頼してもらっていることの表れだと感じます。これは非常にうれしいことです。私たちとしても、そういうブランドを目指していきたいと思っています。

例えば金属って使っていくうちに変化していくんですよね。マットな金属は、使い込むうちに自然の研磨で輝きが出ていきます。さらに使い続けると、今度は逆に細かな傷がついていってまた質感が曇っていく。他の素材だとどうしても経年劣化となりますが、金属の場合はこういったループで“経年変化”していき、次第に自分だけの風合いのリングになっていくわけです。だから貴金属のジュエリーは奥が深いし、何十年経っても楽しんでもらえるものを作る必要があります。

また、「販売して終わり」の世界ではないので、もしお直しが必要になった場合はしっかり対応していかなければなりません。選んでくれた人に末永く寄り添っていくためにも、ずっと使えるデザインはもちろん、アトリエの体制も盤石なものにしていきたいと思っています。

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JJ:
最後に、talkativeのこれからについてお聞かせください!

マロッタ:
今回はあまりお話しできませんでしたが、talkativeには貴金属とは別ラインの、「talkative Banquet」というコスチューム(アクセサリー)ラインを展開しています。「Banquet(バンケット)」とは“宴”を意味し、現在はスワロフスキークリスタルを使ったネックレス「BANQUET BIJOU」が人気ですが、コスチュームジュエリーのみならず、日常を彩る様々なアイテムをデザインしていけたらいいなという思いがあります。そして、コンセプトである「会話の生まれるジュエリー」をより具体的に表現すべく、お客さまにゆったりとジュエリーを楽しんでいただけるサロンのような場づくりもやっていけたらなというのが今後の目標です。

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JJ:
今後の展開を楽しみにしています。この度はどうもありがとうございました!

interviewed by Takayuki Kiyota
photo by Sakiko Kishimoto/Chihaya Kaminokawa/talkative
talkative:http://www.talkative-jwl.jp/
Jewelry Journal Artist Page:http://www.jewelryjournal.jp/brand/talkative/

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