ジュエリー作家・山崎航 象嵌技法の新作シリーズを発表

gallery deux poissons - 12月6日(土)-25日(木)

2025年12月6日(土)〜12月25日(木)の期間、gallery deux poissonsにて、ジュエリー作家・山崎航による個展「Garden of Shadows」が開催されます。


伝統技法をいまに紡ぐ、山崎航の静謐な世界

日本の伝統彫金技法を学び、その技術を現代のジュエリーとして独自に昇華させる山崎航。繊細な手仕事から生まれる、ゴールドやシルバーの草花モチーフは、控えめでありながらも不思議と目を離せない強さを宿し、世代を問わず多くのファンを魅了してきました。

今回の個展「Garden of Shadows」では、“光と影”を題材に、新たな技法と構成による表現に挑戦。

日常の中でふと目にとまる自然の表情──風に揺らぐ植物の影、樹皮の表面に宿る陰影、水面にきらめく光。その一瞬の表情を写真やスケッチに収め、そこから形を選び取り、写実と抽象のあいだを行き来しながら、金属という硬質な素材に落とし込み、やわらかな陰影として立ち上がらせる作品群が並びます。

風景の断片を身にまとう、象嵌技法の新作シリーズ

新作のひとつは、切り嵌め象嵌という手法を用いたシリーズ。丁寧にトレースされた風景の一部分を、黒味銅(くろみどう)や四分一(しぶいち)といった日本伝統の合金に、シルバーのパーツを嵌め込むことで色面として表現しています。四分一には煮色仕上げが施され、銀灰色にやわらかく発色。滲むような質感が、静かな情景の空気感をそっと封じ込めます。

一方、黒味銅とシルバーの組み合わせは、メリハリの効いたモノトーン。まるで風景写真の一部をそのまま切り取ったかのように、小さなフレームの外に広がる世界を想像させるブローチやピアスが並びます。

さらに、蝋流し象嵌によるオーバルのブローチも注目の新作。蝋を流し込んで固める過程で生まれる自然な気泡や収縮跡が、唯一無二の表情をつくり出します。水面の揺らぎや木漏れ日のきらめき──手で掴むことのできない現象をそのまま封じたような艶やかな風合いは、金属とは思えないほど柔らかく、詩的な印象を与えます。

いずれの作品にも、高度な技術と素材への深い理解がにじみながら、同時に現代的な軽やかさや洗練されたデザイン性が宿っています。伝統とモダンが響き合う、この絶妙なバランスこそがWATARU YAMAZAKIのジュエリーの大きな魅力です。

本展は新作40-50点に加え、人気の定番シリーズなども揃い、約100点に近いボリュームで構成されます。

山崎氏が追い続ける“静かで深い美しさ”。その集積が空間全体に広がる、まさに影の庭園のような展示となりそうです。

WATARU YAMAZAKI “Garden of Shadows”
日時:2025年12月6日(土) – 12月25日(木) 12:00-18:00 ※月曜休廊
場所:gallery deux poissons
住所:東京都渋谷区恵比寿2-3-6 1F
URL:https://deuxpoissons.com/exhibition/wataru-yamazaki-exhibition-garden-of-shadows/
お問い合わせ:03-5795-0451

作家在廊日:
12月6日(土)13:00–17:00
12月7日(日)14:00–17:00
12月14日(日)13:00–17:00
12月20日(土)13:00–17:00
※在廊日時は変更する可能性がございますので、最新の情報はSNS、もしくはギャラリーに直接お問い合わせください。

※会期中、一部の作品はONLINEからも購入可能。
(販売開始予定日時:12月10日(水) 12:00- )
https://gallerydeuxpoissons.katalok.ooo/ja

WATARU YAMAZAKI | 山崎 航
1978年生まれ。2000年専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジを卒業後、鍛金家 井尾建二と彫金家 泉良一に師事し、金属と向き合う基礎と姿勢を身につける。『伝統工芸金工展』『日本伝統工芸展』入選。伝統彫金技法を用いたジュエリー制作を始める。重要無形文化財伝承者養成事業に参加。日本伝統工芸会準会員。現在は個展を中心に活動。また青山彫金教室の講師も務めながら、制作と指導の双方に取り組んでいる。


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