
2025年秋、米国発のWomen’s Jewelry Association(WJA/ウィメンズ・ジュエリー・アソシエーション)財団が、2025 年度の奨学金受賞者を発表しました。
ジュエリー・時計業界で活躍する女性を支援する新たな道
WJA(ウィメンズ・ジュエリー・アソシエーション)財団の奨学金は、ジュエリー・時計業界で活躍する女性や女性と識別される人々の教育・キャリア形成を支援する制度。
デザインやクラフト、宝石学、小売、メディアなど幅広い分野を対象に、技術と創造性、ビジネスの側面を総合的にサポートすることで、次世代の女性リーダー育成を目的とした、業界屈指の支援プログラムです。
2025年は総額38,370ドル(約580万円)が授与されました。

メディア、リテール、宝石学分野での活躍支援
ジュエリー業界のコミュニケーション分野を対象とした「Hedda Schupak-Baum Memorial Media and Communications Scholarship」は、ナジャ・デ・サ・ヴァン・ディエスト(Nadja de Sá Van Diest)氏が受賞。業界の歴史を記録するプロジェクト『Pass The Torch: Legacies in Jewelry』を手がけており、今後はジャーナリズムの研究を深める予定です。
小売・販売のリーダーシップ育成を目的とした「Helene Fortunoff Women in Retail Scholarship」には、シャノン・サリス(Shannon Sallis)氏が選ばれました。サリス氏は大手ジュエラー「Signet Jewelers」で20年以上の経験を持ち、マネジメント分野での教育支援を受けます。
さらに、「Gabriel Love Foundation Scholarship」(賞金5,000ドル)は、GIA(米国宝石学会)のオンライン課程で学ぶエリザベス・アリ(Elizabeth Alli)氏に授与されました。地域社会とのつながりを重視した学びが評価されています。
工房技術やデザインなど、制作の現場に携わる女性を対象とした奨学金では、「Stuller Bench Jeweler Scholarship」を、コロンビア出身のジュエリー作家アレハンドラ・ガルシア(Alejandra Garcia)氏が受賞。繊細なフィリグリー(線細工)を専門とし、伝統技術を継承する活動も視野に入れています。
また、「Cindy Edelstein Jewelry Design Scholarship」を受賞したアニ・ハチアン(Ani Khachian)氏は、アルメニア系アメリカ人のデザイナー。デザイン、金工、ビジネスに関する学びを通じて、自身のブランド発展を目指しています。

学生への支援とメンバーシップ制度
学生を対象とした「WJA Student Scholarship」の受賞者は、サバンナ芸術大学(SCAD)でジュエリーデザインを専攻するエル・ジャージュ(Elle Jerge)氏。ブランドとのコラボレーションや産学連携プロジェクトを通じて、実践的な経験を積んでいます。
また、年会費負担を軽減しWJA会員としての学びを支援する「Membership Angel Fund」も設けられており、2025年度は10名が支援対象となりました。
業界の未来を切り開く第一歩
ジュエリー業界は、クラフトマンシップ(技術)・クリエイティビティ(デザイン)・ビジネス(販売・広報)といった複数の専門性が重なり合う分野。WJA財団の奨学金は、これら多様な入口から業界に関わる女性(または女性と識別される人々)を対象に支援を行っており、「制作だけ」「販売だけ」ではない包括的なアプローチが特徴です。
このような試みは、金銭的にに受賞者の活動をサポートするだけでなく、業界への可能性を広げる、未来を切り開くチャンスの創出として注目されています。
一部の奨学金枠は、例年「米国在住者限定」や「米国内在籍校/米国内在籍」という条件がありますが、2025年の応募要項では国外からの応募ができる「Global Memberships枠」があるジャンルも。
例年通りの場合は、2026年も春頃に同様に募集が開始され、その際に詳細募集要項やガイドラインが発表されますので、確認してみてはいかがでしょうか。
Women’s Jewelry Association Scholarships
公式サイト:https://www.womensjewelryassociation.com/scholarships