2025年10月1日より、アメリカ宝石学会(GIA)はラボグロウンダイヤモンド(LGD)の評価方法を刷新し、従来の「4C(カット、カラー、クラリティ、カラット)」システムを廃止することを発表しました。天然ダイヤモンドとは異なる評価軸を打ち出すことで、消費者にとって分かりやすく、公正で透明性の高い基準づくりを目指します。
「プレミアム」と「スタンダード」の2分類へ
GIAによれば、ラボグロウンダイヤモンドの約95%はカラーやクラリティが非常に狭い範囲に収束しており、細分化された4C評価では差別化が困難になっていました。そのため、従来の枠組みを外し、より実態に即したシンプルな評価基準を導入することが決定されました。
そこで、新たに導入されるのは、D〜Zカラーのラボグロウンダイヤモンドに適用され、品質はGIAの判断により「プレミアム」または「スタンダード」のいずれかに分類。これにより、LGDの品質がより明確に区別され、消費者にとっても理解しやすくなることが期待されています。
「プレミアム」分類基準
以下の基準を満たす必要あり:
* クラリティ:非常に微細な内包物以下(Very, Very Slightly Included)
* カラー:D
* ポリッシュおよびシンメトリー:エクセレント
* カットグレード:エクセレント(ラウンドブリリアントカットのみ)「スタンダード」分類基準
以下のいずれかの組み合わせを満たす必要あり:
* クラリティ:非常に微細な内包物(Very Slightly Included)
* カラー:E〜J
* ポリッシュ:非常に良好
* シンメトリー:非常に良好(またはファンシーシェイプの場合は良好)
* カットグレード:非常に良好(ラウンドブリリアントカットのみ)
評価料金は1カラットあたり15米ドル(最低料金15米ドル)。基準を満たさない場合も5米ドルで評価され、ガードルには「Laboratory-Grown」と評価番号がレーザー刻印されます。
GIAが目指すラボグロウンの位置付け
今回の刷新は、単なる評価手法の見直しにとどまらず、ラボグロウンを「天然の代替」ではなく“もうひとつの選択肢”として位置づけ直す大きな一歩です。
複雑な4Cにとらわれず「プレミアム」か「スタンダード」かという直感的な区分が導入されることで、消費者は分かりやすく安心して選択できるようになります。
さらに、天然とラボグロウンをそれぞれ専用の基準で整理することで、業界にとっても市場の透明性が高まり、天然の価値保持とラボグロウンの健全な市場形成の両立が期待されます。
GIAは今後も科学的な整合性と公正さを担保しながら、信頼性の高い情報を提供する役割を担っていきます。