INTERVIEW

日常の些細なユーモアとノスタルジックなストーリーの記憶 tortue

手に取ると、つくり手の温かな気持ちがふわりと伝わってくる “tortue”のジュエリー。つややかなパールやダイヤモンドとマットな質感の金属との組み合せは、肌の上でやさしくなじむようデザインされています。

11月9日(水)から15日(火)までの一週間、CULET by New Jewelry 新宿店に期間限定展開をする “tortue”のデザイナー加藤琴子さんと五十嵐彩子さんにお話を伺いました。

JJ:
まずは、“tortue”のテーマを教えていただけますか?

tortue:
シンプルな中に少しだけ個性が光り、着ける人の気持ちが楽しくなるようなジュエリーがつくれたらと思っています。「身に着けたとき、ふと笑みがこぼれて幸せな気分に包まれる!」そんなジュエリーをつくることがテーマ。 “tortue(トルチュ)”とはフランス語で『カメ』。カメのように ゆっくりと、でもしっかりと歩みを進めていきたいと思っています。

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JJ:
おふたりでブランドをはじめられた経緯は?

tortue:
私たちは高校の同級生なんですが、同じ彫金教室に通って早15年が経ちました(五十嵐は20年!?)。15年程前から、「いつか一緒にブランドをやろう!」と、お互いに夢を語り合っていたんです。

JJ:
素敵な夢が実現した訳ですね。

tortue:
当時、考えていたブランド名は『KAME』(笑)。初めてふたりで夢の話をしたときは、それまでかかっていた霧? というかモヤ? みたいなものがパァーッと晴れて、「世界がひらかれた!」そんな気持ちになったのを覚えています。

JJ:
それでは、おふたりの背景を教えていただけますか?

加藤:
大学で彫金を勉強し、アクセサリーの会社にて販売のアルバイトをしながら一部オリジナル商品を作らせてもらっていました。転職後は、シルバー中心のアクセサリーの企画デザインの仕事をしていたんです。

五十嵐:
専門学校の選択カリキュラムで彫金の授業を受け、もっと色々トライしてみたいと思い、彫金教室に通いだしました。卒業後、インテリアデザイン事務所に勤務しながら、加藤も誘って彫金教室に通い続けます。その後“tortue”を始めることになります。

“tortue”について

JJ:制作は、おふたりで分担して進めるのでしょうか。

tortue:
デザインはベースとなるものをどちらかが提案し、ふたりで発展させて図面をおこします。サンプル製作は分担して実際に身につけながら微調整していきます。

JJ:
ご苦労される点などは、ありますか?

tortue:
人それぞれ、指の長さや耳のつき方もいろいろだという点。耳が外側に向く人は、ひと粒ピアスだと正面が見えにくく楽しめません。そこで、立体的に見えるよう、側面も魅力的なものにとアイデアにもつながるのですが、すべての人に当てはまるバランスを考えるのは難しいです。

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JJ:
ジュエリーをつくる際、大切にしていることは何でしょう?

tortue:
指輪なら指なじみ。ピアスなら正面と側面からの見え方。金具やピアスのフープもデザインの一部にして、『用の美、機能美』を大事にしています。あとは、女性だからこそできるのですが、実際につけてみること。ふたり居ると、作り手側と着ける側という立場になって、客観的に商品と向き合えるんですね。

JJ:
それは、おふたりで活動されている強みですよね。

tortue:
そうなんです。鏡で見ると逆の印象になり、ガラッとイメージが違うこともありますから。パールや石の位置は、どこにあると引き立つのかミリ単位で相談しています。

JJ:
おふたりにとって、特に思い入れの深いアイテムをご紹介いただけますか。

tortue:
『smile』、『closet』、『rhythm』は、代表的なアイテム。“tortue”としてふたりで始める前、それぞれパールを使うジュエリーを作っていたんですが、「すごく素敵なものができたね!」ってほめ合いました。その頃、デイリーに使えるパールのジュエリーがあまりなくて周りからも好評だったんですね。『スマイルネックレス』、『スマイルリング』、『三日月ピアス』は、“tortue”を始める気持ちが一気に加速する、きっかけになったアイテムです。

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JJ:
パールの話題が出ましたが、パールをデザインに取り入れる際、こだわっているのはどういうところですか?

tortue:
素材を生かすデザインと、デザインの中にポイントとして素材を使うのとでは少し変わってきます。パールは派手すぎず、控えめでありながらも高貴な美しさが魅力。パールという素材の魅力を存分に生かしつつデザインしていくと、自然といろいろな要素が削ぎ落とされてシンプルにミニマムになります。

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JJ:
ゴールドの仕上げにも“tortue”らしさが現れていますよね。

tortue:
そうなんです。やわらかなマットのテクスチャーとミラー仕上げのコントラストは“tortue”らしいところ。いちど鏡面に磨いてからマスキングして、手作業でマットにしていきます(機械ではどうしても固い印象になるため)。小さなことですが、ジュエリーという限られたサイズの中で、素材の魅力やデザインが効果的になるよう意識して仕上げています。

JJ:
『closetシリーズ』は、洋服の細部に焦点をあてて制作されたとか?

tortue:
2009年に制作した人気のシリーズで、Vネックセーターをモチーフにしたネックレスや、ラウンドネック、ボートネックとバリエーションがあります。着けてみるとデコルテラインにきれいになじみ、長さを変えることで印象も変わります。ブラウスの丸襟をモチーフにしたリングは、立ち上がった襟の雰囲気や布の織の質感などを繊細に表現しました。どちらも長く人気のアイテムです。

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JJ:
『directionシリーズ』は右肩上がりをテーマにしているそうですね。

tortue:
2013年の春夏に制作したもので、すべてのアイテムが右肩に上っていくようにこだわりました!

JJ:
これは、本当にユニークなテーマですよね?

tortue:
矢印はポップで子供っぽい印象がありますが、大人の女性も楽しめるようダイヤモンドを多くあしらって。リングはピンキーリングのみを製作。縁起が良い感じからか「願い事が叶いそうですね!」と言われます。

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JJ:
どのシリーズも独自のストーリー性があって、心に響きます。

tortue:
ジュエリーという、限られた大きさの中でストーリーを表現するのは難しいのですが、着けたときも美しくなるようにディテールにもこだわって制作しています。お客様からよく、なつかしい気持ちになると言っていただくことがあるのですが、「ノスタルジック」というキーワードは大切にしています。

JJ:
「ノスタルジック」さとは、幼い頃からの経験、なつかしい思い出を反映しているのでしょうか?

tortue:
そう思います。“tortue”のジュエリーに触れて、なつかしい記憶を思い起こしていただけたら。気持ちがほっこりして、元気になれるような。お守りみたいな存在として大事にしていただけたら嬉しいんです。

JJ:
日々の何気ない出来事を題材にしているものが多く、とてもユニークですね!

tortue:
そうなんです。「ボタンの瓶を探していたら、お花のボタンが出てきた!」とか、「このまえ食べたアレがおいしくて! 思わずおつゆがこぼれそうになってね」とか……。そんな日々の出来事や会話をヒントに「そうだ、食いしん坊さんのためのネックレスを作ろう!」となったりするんですよね(笑)

JJ:
なるほど(笑)

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JJ:
作品を産み出すために意識していること、刺激されるものとは?

tortue:
心にゆとりが持てるよう、忙しさはほどほどに。楽しい気持ちで向き合えば、自然とデザインにも反映されると思っています。朝早く起きたときの鳥のさえずりや、きれいな三日月を見つけたとき。おいしいものを食べてよだれがたれてしまったこと。子供の頃に遊んだ木のおもちゃや、お店にたくさん吊るされていたモビールなど……。いろいろなものが刺激になります。

JJ:
おふたりの作品に影響を与えたエピソードはありますか?

tortue:
『In the pocket』というシリーズは、104歳で亡くなられた、まどみちおさん作詞の童謡「ふしぎなポケット」がテーマ。ふたりとも幼稚園でスモックのポケットをたたきながら、「ポケットの中にはビスケットがひとつ……♪」と元気に歌っていました! 夢のあるこの詩は、大人になっても素敵だなと思います。

JJ:
そうだったんですね。

tortue:
この詩のように“tortue”のジュエリーも、シンプルながらも愛されユーモアあふれる作品づくりができたらと考えています。

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JJ:
それでは、お客様からの反応やお声は、いかがですか?

tortue:
「ファンです。がんばって続けてください!」とお声をかけていただいたときは嬉しくて、ふたりで泣きそうになりました。また、ある朝、満員電車に乗ると、“tortue”のピアスを着けてくださっている方が! 数あるジュエリーのなかから日常のジュエリーとして“tortue”を選び、身に着けていただいていることに感激。ジーンとしました。

JJ:
そうゆう不意打ちの出来事って、本当に嬉しいものですね。
どんな方に着けてもらいたいですか?

tortue:
金具のないロングネックレスなどは、お年を召して金具をつまむのが億劫になってしまった方にもおすすめできますので、世代に関係なく身につけていただきたいです。

日常の些細な出来事から、ふっとアイデアが湧いてくるという“tortue”。
「楽しい気持ちで向き合うと、自然とデザインにも反映される」というストーリー性を大切にしたtortueのジュエリーは、伊勢丹オンライン、名古屋ISETAN HAUS地下1階CULET by New Jewelryにてご覧いただけます。

また、11月9日(水)〜15日(火)には、tortue がCULET by New Jewelry 新宿店にて期間限定ショップを展開。デザイナーに直接相談しながらオーダーする機会を、お楽しみください。

interviewed by Rie Hanazawa
tortue:http://www.tortue.jp/

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