INTERVIEW

Etsuko Sonobe 2013 Mar.

天然石と貴金属の魅力を文字通り最大限に引き出したデザインのジュエリーを発表し続ける、ETSUKO SONOBE。リモデルグランドオープンしたばかりの伊勢丹新宿への、期間限定ショップ登場を機に、デザイナーである薗部悦子さんに、インタビューした。

JJ:
はじめまして。今日は、よろしくお願いします。日本でのアートジュエリー界では、薗部さんは、みなさんにとって憧れの存在だと思いますので、少し緊張しています笑。

薗部:
よろしくお願いします。

JJ:
まず、現在のスタイルにたどりついたのはどういうプロセスを辿られたのかお聞きしたいのですが。

薗部:
はい。大学卒業後、企業のジュエリーデザインをしたりしながら、自分の作品も作り続けていて。30代のころは、海外のギャラリーでの個展が決まると、そこで自分の作品を発表する、ということをしていました。

JJ:
確かに、ここのところようやくアートジュエリーというものが、身近な存在になってきましたが、少し前だと、日本では浸透していなかったですよね。ジュエリーといえば、ハイジュエリー、ブランドものか、宝石らしいものばかりでしたね。ギャラリーでジュエリーを見る、というのも違和感があったのかもしれません。

薗部:
そうですね。日本に、ギャラリードゥポワソンができたことで、展開して見せられる機会が増えました。

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JJ:
以前薗部さんの作品を販売させていただいたことがあるのですが、そのときに、こんなジュエリーがあるのね!と、よくあるジュエリーとの「デザイン」の質の違いとクオリティの高さに、感動されるお客様がたくさんいたことがとても印象的でした。薗部さんの、デザインがはじまるきっかけというのは、どこにあるのですか?

薗部:
毎日の中で疑問を持つことからはじまることが多いでしょうか。例えば、以前バッグをデザインする機会があったのですが、そのときも、「持つ」という行為に対して、全部同じデザインって変?という疑問を持って、そこからデザインをしていきました。

JJ:
気づきが疑問になってそこからスタートする、ということなんですね。その気づきを、ストックしておいたり、されるんですか?

薗部:
ストックしておくというか、ふと感じていることが、作ろうとする行為の中で、積み重なってアイディアとして表に出てくるんだと思います。閃きだって、ある意味そうやって出てくるものですし。

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JJ:
そのあとは、疑問を解いていくように、進められる感じでしょうか。

薗部:
そうですね。私は、スケッチをたくさんしながらパターンを出していきます。

JJ:
スケッチをしながら、気づきに対して、一番きれいに解けているものを選んでいくということですよね。なんだか、建築的ですね。解に向かって、ひたすらエスキスしていく感じと似ています。

薗部:
そかもしれませんね、私が今まで歩んできた道をもし通っていなかったら、建築家になっていたのかもしれない、と思ったこともあります笑。
以前から”機能と形態”ということについては文章を書いたこともあって、そこを行ったり来たりして形をつくっていきます。デザインをする以上、人に伝わることが最重要なので、パターンを出したあとは、その部分で決定します。

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JJ:
薗部さんのものづくりは、「アート」ではなくて、「デザイン」なんですね。建設的な思考というか、どこか進め方が男性的で論理的とうか。でも、男性デザイナーのデザインしたジュエリーとはまた違っています。最終決定する際は、感情や感覚が影響することはないですか?

薗部:
感情、、というか、わくわくする方、というので決めることはよくあります。それが、先ほどの、人に伝わるかどうか、という、人との接点として捉えているのかもしれないですね。そのジュエリーが癒しを与えるのか、元気に明るい気持ちにさせるのか、どちらでもいいんですが。感覚的に決定したことももちろんありますが、今のやり方の方がうまくしっくりいくことがわかったので、このスタイルになりました。

JJ:
そう考えると、薗部さんが原石から削り出した石を使ってジュエリーをつくられる、というのが少し意外な気がするのですが。その石の個性や美しさを感覚的にに引っ張り出す、というつくり方とは違いますよね。

薗部:
石に関しては、美しくカットされたつくられた石、というのにそれこそ疑問を感じたところから始まったんです。もっとラフな感じの方が、インクルージョンだったり、自然な石の本質を活かせると思ったことがはじまりです。”おちこぼれの宝石”という展示をしたんですが、たくさん埋れていた美しい天然石を使って、ジュエリーをつくりました。

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JJ:
飽くまで、素材として石を使う、ということなわけですね。金属に関しても、金属がお好きで、大学時代に専攻されたというわけではなかったんでしょうか?

薗部:
金属は、最初硬いものだと思っていて、そのときはすきになれなかったくらいで。ただ、高温で溶かしたりして、ふと柔らかいものでもあることに気がついたときにぐっと近づきました。

JJ:
適した素材として、見てる訳であって、その素材に惹かれたり、夢中になった、というわけではないわけですね。最重要事項は、機能と形態。その石自体や金属を美しく活かすことをデザインのタネにするのではなく、身につける際の機能の中でもっとも美しい形態を探り、素材を当てはめていくという。

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薗部:
それと、デザインをするときの一番根本にあるのは、固定概念を取っ払う、ということなので、そこから始まり、機能と形態を時間のある限りつめていくやり方です。以前は、ひとつだけ答えがあると思い込んでいて答えを目指していたんですが、答えなんてないって気がついてからはもっと自由にデザインできるようになりました。

JJ:
気づきや疑問を元にする、というのは、固定概念を取り払うと同義ですもんね。
薗部さんのジュエリーは、そっとおいてあると、すっと美しく、多くを語らないジュエリーに見えるのですが、まずその姿で人を惹きつけますよね。そして身につけると語り出して、その人を魅了する感じがあるのは、その作り方からくるのですね。

薗部:
以前、肌で感じるジュエリーと言われたことがありますね笑。

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JJ:
まさに。普段ジュエリーをつけないんだけど、という方が試着されて、突然こういうの、すきなの!といって購入されていくところに立ち会ったことがあります。

薗部:
そういうの、うれしいですよね。大きな石のついたものって、日本では毎日つけるという習慣でない方も多いですが、海外の方なんかはもう、毎日つけるからそれこそお修理の依頼もたくさんあったりしますし、そうやって身につけてもらえるとうれしいです。

JJ:
機能と形態を考えてつくしてつくられているわけですから、たくさんつけていただいて、味わってしっくりと馴染んでいくのが素敵ですよね。

薗部:
そうそう。指輪が特に、気がついたらデザインしたくなることが多いんですけど。造形的にも面白いし、指は一番動くので表情があるし、指を入れるための不可欠な(丸い)形態、全部がひとつになってデザインですから。パターンはいくつも出てきますね。本当におもしろいですよ。

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JJ:
!!!薗部さんのリング、やっぱりどうしてもほしくなってきてしまいました。

薗部:
笑。今回は、シンプルな真珠のネックレスを新作でつくったんですが、それも後ろ側のデザインをいろいろやってみたりして。けっこう気に入ってます。

JJ:
実物を見せていただくのが楽しみです。早速、お邪魔してみようと思います!今日は、貴重なお時間、ありがとうございました。


インタビューを終え、いいものは直感でまず惹かれ、ストーリーをきくともっと惹かれるような、『2度惹かれる』ものであるということを実感しました。是非多くの方に手に取って、その深さを肌で感じてみていただきたいと思います。

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薗部さんの活動は、ジュエリーそのもの以外にもキギの渡邉良重さんの絵と、詩人の長田弘さんとのコラボレーションの本『JOURNY』など、多岐に渡ります。その他、身につけるものに限らずデザインの可能性があるとのことで、本当に楽しみです。

interviewed by Midorikawa Hiromi

ETSUKO SONOBE:http://etsukosonobe.com/

*ETSUKO SONOBE の作品は、3/13(Wed)-19(Tue) の期間、伊勢丹新宿1階プロモーションスペースでの出店でご覧いただけます。

 

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