INTERVIEW

肌に沿うアートピース、研ぎ澄まされたデザイン《JUTIQU/ジュティク》インタビュー

『Everyday Chic』をコンセプトにしたコンテンポラリージュエリーブランド、JUTIQU(ジュティク)。デザイナーであるアルバイサ知子さんにインタビューした。

JJ:
こんにちは。とても素敵なアトリエ(兼ご自宅)にお邪魔してしまいました、、今日はよろしくお願いいたします。

アルバイサ:
どうぞよろしくお願いします。

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デザインコンサル、プロダクトデザインを経て、
もっとも身近で好きなジュエリーのデザインへ

JJ:
さっそくですが、コンテンポラリージュエリーとして唯一無二の存在感を放つJUTIQUのジュエリーについて、教えてください。

アルバイサ:
代表的なのは、透明な樹脂にパールを閉じ込めたスタイルです。元々自分自身が、ベーシックでシンプルなものをいかに着こなすかという考え方で身に付けるものを選んでいて、ジュエリーはそういったスタイルを際立たせてより楽しめるようにするアイテムだと思っているので、それが実現できるジュエリーを自分なりにセレクトした樹脂という素材で表現しています。

JJ:
シンプル、ベーシック、、大義としては簡単に使ってしまう言葉ですが、JUTIQUのジュエリーを見て手に取ると、研ぎ澄まされてその表現ですので、背筋が伸びる思いです。アルバイサさんが、JUTIQUをはじめるまではどういった道筋を辿られたのでしょうか。

アルバイサ:
もともとジュエリーブランドを立ち上げたいと思っていたわけではないのですが、きっかけとタイミングが重なって気づいたらJUTIQUを始められたという感じです。学生時代は美術史やデザイン史を学んで、最初の就職もデザインコンサルティングの会社でした。この最初の就職までは作る立場というよりはアカデミックな立場にいたのでデザインには間接的に携わっている感覚があって。

JJ:
デザインの本質は、つくる側が持っている、ということでしょうか。

アルバイサ:
はい、やはりデザインの醍醐味を味わうには作る側にいきたいと考えはじめて。それでロンドンの美大Central Saint Martins College of Art and Design に留学しました。世界中からくるクリエイティブな人々に囲まれてとても刺激的な時間を過ごすことができました。

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アルバイサ:
それから、卒業後に帰国して日産自動車のデザイン部に就職し、カラーデザインや日産デザイン戦略の仕事に就きました。大企業でのデザインに一から携わることができて、本当に充実したかけがえのない経験ができた期間でした。結婚を機に退社をしてしまい、再びロンドンに移住することになったのがきっかけで、自分発信のモノ作りを考える環境になりました。

JJ:
また日本に戻ることになっても続けていける取り組みですし、そういう想いもあって自然と動き出したということでしょうか。

アルバイサ:
そうかもしれないですね。その際に再びCentral Saint Marins College of Art and Design のショートコースで勉強する機会ができて、そこで興味のあった3Dデザイン:陶芸、ガラス、ジュエリーのコースをとったんです。

JJ:
モノ作りの芽がいよいよ育ち始める瞬間ですね。

アルバイサ:
そうそう、ショートコースで学んだ陶芸、ガラス、ジュエリーはどれも楽しくて(笑)ライフスタイルに関わるもので自分の思った形になっていくということが改めて面白いと感じたんです。ただ何かひとつに取り組むのであれば、自分にもっとも身近で好きなジュエリーが一番適しているなというところからジュエリーにフォーカスしていって。ジュエリーも彫金、板金、鋳金なども経験してみて、そこでとったJewelry Making with other materials という1週間のコースで現在のJUTIQUの原形となるアイデアに出会ったんです。素材の選択肢がある中で、無限の可能性を感じる透明感のある樹脂はとても魅力的でした。あとプロダクトデザインの経験があるからか、樹脂という素材をとても身近に感じていたのもあるかもしれません。

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一番身近に感じた樹脂という素材

JJ:
視野が開ける瞬間だったんですね。Other Materialということで、表現方法が成熟しきった他の素材よりも、思考のプロセスを、先入観なく新しい形につくれるというところも、ぴったりの素材だったのかも。

アルバイサ:
そうかもしれないですね。私にはゴールドやプラチナ、ダイヤといった高価な素材は身につけた時にとても気をつかってしまうんですね(笑)だから樹脂という素材はとてもカジュアルで気を使わなくても良い素材だし、水にも汗にも強いし、扱いも楽だし身につけた時に心地よい、そんな樹脂という素材の機能的な面にも魅力を感じていました。自分に一番身近に感じた素材ということだったんでしょうね。

JJ:
樹脂の中にパールというのも、そのときに発想されたのですか?

アルバイサ:
もともとシンプルなものが好きですし、そういう意味で白くて質感がきれいで球体というパールはとても好きな素材であったので、透明感とパールの組み合わせは自分の中ではとても自然な組み合わせでした。もともとあるオーセンティックな素材であるパールをよりコンテンポラリーな形でジュエリーとして身につけたいというのは元々もっていた気持ちだったので、「欲しいジュエリー」をつくろうというかなり自然な流れだったかと思います。

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アート性とデザイン性の両方を持っていてはじめて、愛されるジュエリーになる

JJ:
カジュアルな樹脂・ベーシックなパールという素材を掛け合わせた発想と、月並みの言葉になってしまいますが、洗練されて研ぎ澄まされたデザイン、そのデザインを徹底して実現されたアウトプットとしてのジュエリーとして成り立っている。そういうところが、JUTIQUが「デザイン」「アート」「ジュエリー」「プロダクト」どこのカテゴリーとしてでも幅広く受け止められる要素をつくっているんですね。手に取る方によって、捉え方が違うというか。

アルバイサ:
ありがとうございます。アート性とデザイン性の両方を持っていてはじめて、愛されるジュエリーになると思っているので、機能と形のバランスにはこだわっています。形をつくるとき、身につけたときに心地よい形にデザインする。でもアート性のある形で野暮でない。アート性が高くても着け心地が悪いものではデザイン的に未完結だと感じているので、その両方が解けている形を、自分なりに答えを出しながら形にしています。

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JJ:
となると、それを実現してくれる職人さんの腕や、関係性というのがかなり重要ですね。

アルバイサ:
そうなんです。樹脂の磨きひとつ取っても、これはだめでこれがJUTIQUというのが、私の中には明確にあるんです。同じ形でも磨きの具合によって完成したときの印象がガラッと変わってしまいます。私の中で一番クオリティが高く見えるという着地点を、職人さんと寸分の加減で実現しています。

JJ:
JUTIQUのモノ作りにおいて、一番重要視しているところはどういったことなのでしょうか?

アルバイサ:
とても気軽な樹脂という素材をどれだけクオリティを高くみせるか、つまりいかに「品」を持たせるかということです。樹脂というカジュアルな素材にどれだけ「品格」を持たせるか、そこを常に強く意識しているところです。その答えが私にとってはシンプルな形であり、それを実現するのに今は日本でもここでしかできない技術を持っている職人さんと一緒にものづくりをしています。

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コンテンポラリーであるか タイムレスであるか

JJ:
コンテンポラリーであり、いつミュージアムに展示されても違和感のないレベルでシンプルを極めるものづくりを目指されているんですね。アルバイサさんのデザインソースというのは、どこにあるのでしょうか?

アルバイサ:
ジュエリーのコンセプトを考えるときは基本的には"自分が欲しいジュエリー"をデザインしていきます。同時に、デザインする際には、"コンテンポラリーであるか""タイムレスであるか"ということを軸にしています。自分の中にある何万何千とあるデータベースの中から、その2つの軸にあって、今着けたいと思うものをアウトプットするんです。

JJ:
何万何千!それはすごいボリュームの積み重なりですね。アルバイサさんの強い好奇心を感じます。

アルバイサ:
そのデータベースは、やっぱり美術やデザインが好きで、とにかく色々見て蓄積されたところもあると思います。小さい頃から父のアートブックが身の回りにあってそういうのを眺めるのは好きでしたし、10代~30代前半まではとにかく色々なものを見ようと心がけていました。ロンドンに住んで居るときもヨーロッパの美術館は、とにかく全部!というくらい見に行って(笑)その体験は今も蓄積されていると思います。デザインを考えるときはそのデータベースを元に、研ぎ澄まされたものとして自然に出てくるものであるといいなと思っています。

JJ:
コンテンポラリーであるかどうかを判断するためには、これまでの歴史や流れを、把握してないと作り得ないものですもんね。ここまでの歴史があっての、新しい解釈というか。

アルバイサ:
そうなんです。同時に、この人はこういうものを見てきた、こういうことを美意識として持ってる、そういうところが一番パワフルだと思っているので、いつも自分の基準を問うて、そこに至るまでの熟考されたレイヤーというのを表現したいです。

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JJ:
もうひとつあげられたキーワード、タイムレスというのは?

アルバイサ:
今着けても、30年後につけても、100年後につけても古くなく、時間の概念にとらわれないものであるかどうか、というのをもうひとつのデザインの基準にしています。それは、自分がタイムレスなものに興味があるからだと思うんですが。

JJ:
流行や自分の年齢に関わらずずっとつけられるというのは、身につける側にもうれしいです。ある意味、ダイヤモンド、パール、ゴールド、プラチナなどの、ベーシックな素材に近い感覚ですね。

アルバイサ:
一過性でおわることのないデザインを目指していますね。また、どのコレクションを合わせてもレイヤーできるように、ということも意識しています。その人が集めていったもので、ヒストリー・スタイルを重ねていただけたらと思っています。

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JJ:
素敵ですね!それこそ、タイムレスなアイテムでないとできないコーディネートかも。

アルバイサ:
元々、樹脂という素材のジュエリーやアクセサリーは、個性的でコーディネートしづらいように思われることが多いですが、持っているものと組み合わせてつけてもらえるように、というのも願いとしてあるんです。JUTIQUの様々なコレクションを重ねていただいたり、お持ちのジュエリーと合わせていただいたり、楽しんでいただけたらと思っています。

JJ:
今回伊勢丹新宿での出店に向けて発表される最新作には、そういった意味でさらに幅を広げてくれるアイテムもあるとか。

アルバイサ:
「Glam」(グラム)というシリーズなんですが、ずっと構想していてつくりたかった、ゴールドとブラックのシリーズです。とても高い技術力のある信頼できる職人さんとの出会いでやっと実現できた、自信作のシリーズです。お持ちのゴールドのアイテムなんかと、より一層組み合わせやすくなるんじゃないかな。

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JJ:
今実際つけられてますけど、樹脂の透明感が、シルバーを纏うことですごく新鮮な見え方になっているのに驚きました!樹脂っていうと、クリアで透明、、せいぜい色付きの透明のものくらいしか見たことがないので、「新作」と伺ってまったく想像つかなかったのですが、これはまた本当に長く愛せるアイテムですね。

アルバイサ:
ありがとうございます。是非、お気に入りのコーディネートを見つけに、遊びにいらしてください!

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チャーミングな笑顔の合間に現れるインテリジェンスがとても魅力的なアルバイサさん。JUTIQUの軸である「コンテンポラリー」「タイムレス」、また「シンプル」というキーワード、デザイナー アルバイサさんのデザインに対する研ぎ澄まされたストイックな思いを、深く伺えた時間となりました。

interviewed by Hiromi Midorikawa
photo by Yuka Yanazume
JUTIQU: http://www.jutiqu.com

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