INTERVIEW

januka 2013.May

ジュエリーに対する素材や技法への先入観に捉われない、「お手本から少しずれた」がコンセプトの、januka。6月5日(水)から、伊勢丹新宿本店1階=ザ・ステージにて開催されるNew Jewelry LIMITED STOREに参加される、januka デザイナーの中村穣さんに、インタビューした。

JJ:
今日は、よろしくお願いします。はじめまして、なので、是非生い立ちからお話伺わせてください。海外生活も、長くされているとか。

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中村:
よろしくお願いします。そうですね、出身は大阪なんですが、15歳からスイスの日本人学校に入学したところから、海外生活がスタートしました。高校卒業後はいろいろ見たいと思ってNYにいったんですが、20歳でプラット・インスティテュートに入りました。

JJ:
美術大学ですね。専攻は、何のデザインですか?

中村:
インダストリアルデザイン専攻でした。在学中は、droog design などの、コンセプトのあるデザインに興味をもちました。自分も影響されたりしながら、ミラノサローネで椅子を発表したりしました。

JJ:
スタートは家具だったりプロダクトだったりしたわけですね。

中村:
はい。24歳で卒業して帰国したんですが、そのあとアルバイトしたり、日本のデザインに関する状況を肌で感じたりして、結局大学院・・・デザインアカデミーアイントホーフェンに進学することにしました。

JJ:
進学することにしました、ってアイントホーヘンにさり気なく入れちゃうのがすごいと思いますけれど笑。

中村:
卒業するのは大変なんですけど、入れるは入れるので笑。よりコンセプチュアルなデザインを学びたく、“Conceptual Design in Context”という学科に進学しました。そこで、ハイスバッカーに師事して、droog design からテーブウェアを発表しました。その製品化に向けてデザインをしたり、デザインプロセスを繰り返すことに没頭した大学院時代を過ごしました。

JJ:
そこで、いわゆる職人的な”ものづくり”とはちがう、「プロセス」を重視したデザインが、中村さんの中で身についていったわけですね。

中村:
はい、デザインすることや、ものの見方などは、そこで固まったと思います。

JJ:
中村さんのデザインされたジュエリーを見ると、今までにあった素材を再解釈されて新しいデザインに昇華させている印象を受けますが、そういうことだったんですね。大学院を修了されて、ジュエリーデザインをスタートされるには、どういう思いがあったのでしょうか。

中村:
日本に戻ってから、2011年のDESIGN TIDEに“bril”という3人組のユニットで、「Ceramic Lab」という展示をしました。、その時僕は、”量産できる一点も の”、というテーマでセラミックの器をデザインしたんです。そのときの素材との出会いとテーマが、ジュエリーにもはまるなと思って、ジュエリーをデザインしたのがきっかけで す。ずっと、ジュエリーをつくってみたいという思いもあったもので。

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JJ:
確かに、”量産できる一点もの”というのは、時代性がありますよね。droog designの考え方の、さらに進化した考え方というか。ジュエリーに惹かれていたというのはどのあたりででしょうか?

中村:
プロダクトと違って、デザインしたあとの工程すべてに自分が関わるということに惹かれているんだと思います。デザインして制作して、デザイナーが実際店頭に立ってお客様とコミュニケーションできるというのは、プロダクトにはない構造ですから。

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JJ:
そうですね、デザイナーという言葉がついて、実際そういうことがあるのって確かに、あまりないですよね。アートジュエリーは珍しいかも。プロダクトや家具には、まずないことですね。でも、中村さんが人に興味があるのが、意外な気がしました笑。デザインのきっかけとして、”人”を意識するのはどのタイミングですか?

中村:
僕は、デザイナーであって、作りたいものをつくるのではないので、まず素材や技法をリサーチして、これまでにないプロセスを探します。”人”を意識するのは、デザインのコンセプトが出来たあと、実際の展開にバリエーションを持たせるところでですね。

JJ:
その、素材や技法をリサーチして・・・という部分で、素材や伝統の技法に関して、きちんと解釈がされているからこそ、クラフトが好きな方に響くものづくりにつながる。一方でそれを踏まえて生まれたコンセプトやデザインの昇華の部分がまた新しい解釈になっているから、デザインに興味のある方にまたピーンと響くという、二面性を持っているんですね。デザインのスタートに、コンセプトが先にくることもありますか?

中村:
はい、コンセプトありきのときもありますし、素材から入るときもあります。どちらにしても、自分の中で考え方は同じで、デザインに理由を感じるかどうかは常に頭の中にありますね。

JJ:
頭でデザインしているようで、その複雑な回路を、自然に絶妙なバランスで解釈していそうなところも、魅力のひとつなんだと思います。デザインの運動神経がいい、というか。

中村:
ジュエリーのデザインをするときは、やはりつけ方によって別の見え方をするとか、そういう機能面でのデザインの昇華もあってこそだと思うので、その部分を考えていたりしますね。

JJ:
2012年からスタートされて、メインに発表されている、”porcelain jewelry”は例えば、先述の量産できる一点もの、という考えに基づいた、形は同じでも混ざり合い方が一つ一つ異なる特殊な色付けをした磁器のジュエリーということですが、このいろいろをデザインされる際はどうやって展開していったのでしょうか。

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中村:
徹底的に、セラミック・磁気の素材をリサーチして、これまでに使われていない技法をひたすら研究しました。その中で、今回の色の出方の美しさに辿りついたので、そこからヴァリエーションをもっていろいろな形に展開しています。現在、アトリエにこの磁気を焼ける窯を持って、色と形を生み出しています。

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JJ:
球体を使ったネックレスは、形は今までにあった形ですが素材感と混ざり合った色が新鮮ではっとします。磁器らしい薄口のボリュームを平面に落とし込んだ形のピアスは、ピアスの形としては新しく、つけたときの横顔に色味が見えてくるところがおもしろい。同じシリーズの中でも、いろいろなところに響くポイントが散りばめられていて、計算高いですね笑。

中村:
どちらも、自分の中では自然なプロセスとして出てきているんですが笑。今回は、New Jewelry LIMITED STORE @THE STAGE ISETAN SHINJUKU には、新しい色の組み合わせを限定カラーとして発表します。こちらも、もちろん一点ものですので、是非手に取って、色の出方を見て選んでいただきたいです。

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JJ:
次は、どんなデザインを考えているのでしょうか?

中村:
janukaでは、革で何かデザインしたいと思っています。また、“bril”でも、今年の秋3ヶ月間、招待デザイナーとしてスウェーデンに滞在しリサーチをベースとしたプロジェクトを発表予定です。

JJ:
janukaで展開される新作、また新しいプロダクトも、楽しみです。

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審美性よりも、既存の日用品や技術・素材などを再解釈する編集的なデザインの背景で学ばれたからこそ生まれる、進化するデザイン。

同時に、そのインテリジェンスだけに囚われない自然体で柔らかな感覚を許容したご本人の雰囲気が、印象的でした。
Interviewed by Midorikawa Hiromi

januka:http://www.januka.jp/

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