INTERVIEW

Stitch 2014.Jan

刺繍で描いたオリジナルのモチーフに天然石や羽根をあしらい、一点ずつ手作りされている「Stitch」のアクセサリー。ハンドメイドならではの温かさと、色糸の織りなす、独自の世界観に目を見張ります。

特筆すべきは、ひと針ずつ、丁寧に施された手刺繍の美しさ。ミシンではできないステッチを使ったり、ほんの少しステッチをランダムにしたり、刺した糸の立体感が出るよう意識しているのだとか。

2月5日(水)から1週間、伊勢丹新宿本店1階に期間限定出店する、Stitchのデザイナー 石渡明子さんにお話を伺いました。

JJ:
まずは、Sitchについて教えていただけますか?

石渡:
Stitchのロゴマークは、<手刺繍の針>がモチーフ。「針と糸から、あたらしくて美しいモノがうまれますように」。そんな思いを込めて、人の手からうまれるモノづくりをしています。

JJ:
石渡さんのプロフィールもお願いします。

石渡:
女子美術短期大学を卒業後、グラフィックデザインの会社に在籍しながら、初めて自分の名前で刺繍作品を発表したのが2003年です。ギャラリーでインスタレーションのような展示でした。2006年に、刺繍の平面作品と手刺繍をそえたバッグを「Stitch」のブランド名で始め、2011年の終わりに最初のアクセサリーを発表しました。

JJ:
Stitchの制作に専念するまでに、転機やご苦労はありましたか?

石渡:
2006年以降、バッグ制作の仕事は少しずつ増えて行きましたが、会社と二足のわらじのまま続けるうち、いつしか「バッグがメインで手刺繍はそえもの、仕事も何がしたいのか、全てが中途半端だな」という気持ちになっていったんですね。初心に立ち戻ったとき、「手刺繍でモノを作りたかったこと」を思い出し、退職しました。

JJ:
初心に立ち戻ることで、本当に作りたいモノに巡り合えたのですね?

石渡:
古い刺繍の本を見ながら「刺した事のないステッチを片っぱしから刺してみる!」という、自称「特訓」を何ヶ月か続けていました。そのうちに、いくつかのステッチを使ってできたオリジナルのモチーフを見て、「こんなアクセサリーがあったら欲しい!」と思いついて。初めて、手応えのようなものを感じたんですね。その後は、ジュエリーデザイナーの妹にアドバイスをもらいながら、最初のアクセサリーにつながります。

JJ:
最初に制作したアクセサリーは、どんなものでしたか? 人気のアイテムも教えてください。

石渡:
Stitchで最初のアクセサリーは、刺繍モチーフに羽根をあしらったイヤリングでした。その後、カラーバリエーションも増えて、今でも人気のあるアイテムです。最近は、絹の光沢感や職人さんの手技に惹かれ、京都の絹糸・金糸・銀糸を使ったシリーズのラインナップが増えてきています。

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JJ:
刺繍などの技術は、いつ、どこで身につけ、磨いたものですか?

石渡:
私の刺繍は、独学で自己流。祖母や母が先生の元で刺繍を習っていて、小さい頃から、手作りのモノに囲まれて育ちました。日本刺繍、フランス刺繍、戸塚刺繍、デンマークのクロスステッチ、カットワークに、キルトに、レース編み……。手作りしている様子を、いつも傍で見ていたので影響されたのでしょうね。

JJ:
それでは、手作りのお洋服を着る機会もあったのでしょうね?

石渡:
小さい頃のピアノの発表会は、毎年のように母の手作りワンピースを着るのが楽しみで。胸元にスモッキング刺繍が施された薄い水色のパフスリーブのワンピースは、今見ても「丁寧に作られていて可愛い♪」と思います。

_Stitchについて
JJ:
作品のテーマは、どのように決めていますか?

石渡:
作品テーマというより、基本は「そのとき自分がほしいもの」を作ります。新しい服にあわせて、とか。素敵なレストランで食事をするから、とか。リアルな生活の中から、作りたいモノが見えてきます。素材に出合ったときにイメージがわくこともありますね。

JJ:
ジュエリー制作の流れ(工程)は、どんな感じで進められるのですか?

石渡:
「こんなカンジのモノが欲しいんだけどなー」とラフなデッサンをして、サンプルを作ります。大きさ、つけ心地を調え、形を決めていきます。次は、電車の中や街中、いろいろな世代の女性を思いながら、「あの人だったら、どんな色あわせが似合うかな?」と考えるうち、バリエーションが広がっていく。イメージする時間は楽しいものですね。

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JJ:
素材選びや、糸や石の選び方。配色や組合せについては、どこからインスピレーションを得るのでしょう?

石渡:
信頼している糸屋さんがあって、そこで相談をしながら、素材の個性を教えてもらったり、新しいものをみつけたりしています。配色は流行に左右されることなく、その時の自分の「季節のキブン」みたいなものを取り入れています。

JJ:
創作活動に向かうとき、気持ちの風通しをよくするために、欠かせないことはありますか?

石渡:
作業する時には、かならず手をきれいに洗ってからエプロンをつけます。たったそれだけのことですが、エプロンをつけると不思議と「今から仕事モード!」に気持ちが切り替わります。

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JJ:
身につけられたお客様からの、嬉しいコメントや感想、どんな声がありますか?

石渡:
百貨店のイベントで、こんなことがありました。Stitchのアクセサリーを見たお客様が、「あ! 見つけた!」と。お話を伺うと、「電車の中で可愛いアクセサリーをした人がいて、それをずっと見ていたら、今日ここで見つけたの!」とおっしゃいます。購入してくださった方が、身につけてお出かけしてくださっていたこと。それを可愛いと思って見てくださった方にも、お似合いだったこと……。作り手として、とても嬉しいお声でした。

JJ:
おすすめのコーディネイトや使い方を教えてください。
石渡:
カジュアルにも、すこしオシャレしたときにも、「いろいろなシーンで身につけてもらえたらいいな」と思って作っています。ブローチは軽いつけ心地なので、お洋服の一部みたいな感覚でつけてみてください。

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ご自身について

JJ:
アクセサリーづくりの原点になるエピソードや、小さい頃の思い出はありますか?

石渡:
私の祖母は『アクセサリーの引き出し』を持っていて、小さい頃、遊びに行く度に「見せて~」とおねだりしました。晩ごはんのあと、テーブルの上に引き出しを置いて、ひとつずつ箱をあけながら、買い求めた旅先の思い出話や、プレゼントされた時のエピソードを聞くのが大好きでした。真珠のネックレスや、ひすいのブレスレット、サファイアのリング、そしてエナメルのブローチを鏡の前でつけてみたり、香水のビンをうっとり嗅いでみたり……。あのときの何とも幸せで楽しかった時間は、アクセサリーをつくる原点になっている気がします。

JJ:
旅先などで、印象に残るイメージや出合いについて教えてください。

石渡:
色の記憶で、旅先を思い出すことがあります。<イスタンブール>のモスクの前に咲いていた濃いピンクの花、夜の街の赤い外灯、オレンジ色の大きな月。<クロアチア>の紺碧の海と真っ白な壁。<マカオ>のカジノのカラフルなネオン。<ヘルシンキ>のインクブルーのガラス。<バリ島>の色とりどりの供物。<沖縄>の空の青、海の青。<マニラ>の燃えるように赤い夕陽。旅先で出合った色彩の記憶は、鮮明に思い起こされます。

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JJ:
日常のどんな時間が好き(大切)ですか?

石渡:
家の窓の外に、大きな銀杏の木と桜並木があります。お店もイベントもない日に、窓の外を眺めながら季節を感じつつ、ゆっくりと朝食をとる時間が好き。慌ただしい毎日のなかでの、大切なひとときです。

JJ:
石渡さんの作品に影響を与える、アーティストやモノ、映画、音楽は?

石渡:
フェリーニの映画、マックスエルンストのコラージュ、ティルマンスや鈴木理策さんの写真、ヤコブセンのライト、日本の古い銅製のうつわ、お気に入りに囲まれて作業しています。頭にあるデザインを初めて形にするような、少し特別な時間には、好きな音楽家の高木正勝さんや、細野晴臣さんの音楽を聴いて気分を上げます。

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JJ:
センスやインスピレーションを育むために、意識していること。心惹かれるモノは?

石渡:
「自分の心の中の声をきく」こと。「正直でいる」こと。たくさんの情報やモノにかこまれているけれど、「自分ならどう思う?」「本当にそう思う?」って、よく自問自答しています。心惹かれるのは、<論理的>と<直感的>が同居しているモノ。<丁寧さ>を感じるモノ。

JJ:
今、興味があることや、取り組んでみたいテーマはありますか?

石渡:
日本の素材をどんどん使っていきたいです。その素材が作られている現場を見に行く機会も欲しいと思います。

_ショップ&プロモーションについて
JJ:
代官山のショップについて、ちらっと教えていただけますか。

石渡:
妹のブランド「riro」のジュエリーと、Stitchのアクセサリー&バッグのお店です。静かな住宅街にひっそりとある小さなスペースですが、ゆっくりとお気に入りを探していただける場所になると嬉しいなと思っています。

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JJ:
伊勢丹のプロモーションで先行販売されるアイテムについて教えてください。

石渡:
京都産の絹糸を使ったシルクシリーズから、シルクリボンをあしらった、華やかでフェミンニンなピアス(イヤリング)が先行販売となります。「春を待つ季節」を意識した色合いにしました。そのほか、今気になる大人可愛いピンクのアクセサリーも揃えていますので、ぜひお試しになっていただきたいです。

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JJ:
最後に、伊勢丹に訪れる予定のお客様、ジュエリージャーナルの読者に向けてメッセージをお願いします。

石渡:
Stitchのアクセサリーをお手にとっていただき、「お似合いになって、お顔がパッ♪と輝く」。そんな瞬間が、たまらない喜びです。みなさまのお越しをお待ちしております。

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最近、作りたいモノのイメージがムクムクわいてきて、楽しいと話す、石渡さん。「どんどん作りたいと思うのに、どうして手が2本しかないんだろう?」と真剣に考えてしまうほど、制作に没頭しているご様子! 伊勢丹で先行販売されるという、「春を待つ季節」にぴったりの色合いのラインナップに会えるのが待ち遠しいです。

interviewed by Rie Hanazawa
Stitch: http://www.stitch-ak.com/

* Stitch の作品は、2/5(Wed)-12(Tue) の期間、伊勢丹新宿1階プロモーションスペースでの出店でご覧いただけます。詳しくはこちらをご覧ください。

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